ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

佐藤優樹楽曲13選

このところブログを書く時間を取れずにいるのですが、佐藤優樹さんの卒業が決まったのにあたり、彼女の歌を味わえる楽曲をリリース順に選んでみました。

 

1. 『ピョコピョコウルトラ(2012年1月リリース)

歌割りは少ないけど、なんといってもデビューシングル。

 

2.『ブレインストーミング(2013年4月リリース)

ソロの歌割りをもらったのはデビュー曲以外ではこれが初めて?

 

3.『わがまま 気のまま 愛のジョーク(2013年8月リリース)

言わずと知れた大抜擢!

 

4.『What is LOVE?』(2014年1月リリース)

Is it necessary?

 

5. 『夕暮れは雨上がり』(2015年4月リリース)

オリジナルの歌割りはあまり多くないけれど、この曲は彼女の歌声に良く合っていると思うのです。

 

6.『Oh my wish!(2015年8月リリース)

声が大人になってきて、この曲あたりから現在につながる魅力的なニュアンスが出てきたように感じます。

 

7. 『今すぐ飛び込む勇気(2015年8月リリース)

今になって気づいたのですが、これは佐藤優樹フィーチャー曲なのですね。たくさんあるソロも良いし、出だしの野中美希とのデュエットも素敵です。

 

8.『ENDLESS SKY』(2015年12月リリース)

バースデーイベントで佐藤優樹がソロで歌った歌声に脳内変換すると泣けてきます・・・。

 

9.『泡沫サタデーナイト!(2016年5月リリース)

佐藤優樹覚醒!!!

 

10.『弩級のゴーサイン』(2017年10月リリース)

曲全体に彼女の溌剌とした声が鳴り渡っていて元気いっぱい。

 

11.『自由な国だから』(2018年10月リリース)

声に凄みが出てきて鳥肌モノ。特に落ちサビが印象的。

 

12.『KOKORO&KARADA』(2020年1月リリース)

譜久村・佐藤・小田スリートップの到達点。

 

13.『ギューされたいだけなのに』(2020年12月リリース)

彼女の歯切れの良いリズム感が楽曲の肝。

 

ということで、13曲挙げてみました。これでプレイリストを作ってしばらくリピートします・・・。

ソロフェス!2 を二度楽しむ

ハロプロをすっかり好きになって1年半ほどになるのですが、このところ直面している最大の問題は「自分はテレビを持っていない」ということ。ハロプロは結構重要なイベントを衛星放送系で流していて、dTVチャンネルでも見れるものはPCやスマホがあれば良いのですが、今回の「ソロフェス!2」は完全にお手上げでした。B-CASカードがないとどうにもなりません。

ソロフェス当日はTwitterのタイムラインを指をくわえて見ていたのですが、ありがたいことにセトリを一人ずつ流してくださる人がいて、ああこれは良い選曲なんじゃないかななどと考えているうちに思いつきました。こうなったらセトリを見て、オリジナルの楽曲を聴きながらソロフェスでメンバーがどうパフォーマンスしたか想像してみよう。ついでにランキングも作ってしまえ、と。

そうやって始めてみるとこれが楽しい!(負け惜しみ?)。脳内でありありとその姿や声を想像できたり、すごく意外だけどこれはあるかもと思わせる選曲があったり、結局51人分すべてについてオリジナルを聴き通しました。その結果の妄想ランキングは次の通りです。ベスト10を作ろうと思ったのですが、どうしても収まらなかったのでベスト11です。

  1. 石田亜佑美:どーだっていいの
  2. 稲場愛香ミステリーナイト!
  3. 牧野真莉愛:ブキートレイン’03
  4. 工藤由愛:まっさらブルージーンズ
  5. 小野瑞歩:夜風のMessage
  6. 佐々木莉佳子:人生はSTEP!
  7. 笠原桃奈:Va-Va-Voom
  8. 川村彩乃:羨んじゃう
  9. 伊勢鈴蘭:夢幻クライマックス
  10. 為永幸音:This is 運命
  11. 島倉りか:ROCKエロティック

石田亜佑美の『どーだっていいの』はミュージカル仕立てで来る様子が眼に浮かぶし、歌メロが石田に向いていそうな感じがして、「今年もやってくれますね!」と勝手に絶賛していました。稲場愛香の『ミステリーナイト!』も彼女の歌声とダンスに150%くらい合っていて、選曲が素晴らし過ぎ。そして、期待がもの凄く膨らんだのが牧野真莉愛の『ブギートレイン'03』でした。牧野と藤本美貴を歌の面で繋げて考えたことがそれまでなかったのですが、この曲を牧野が歌いこなしたらさぞ素敵なステージになることでしょう。

他方、竹内朱莉の『ロックの定義』や金澤朋子の『Everyday Everywhere』も良いステージだろうなと思ったものの、ちょっとハマり過ぎな感じもしてランキングから外したりしていたのでした。

 

さて、興奮冷めやらぬまま数日が経ち、ありがたいことに当日の映像を見ることができました。そこで、実際のパフォーマンスを見た上でのランキングを作り、上に挙げた妄想ランキングと照らし合わせてみることにしました。2つ目のランキングを、まず10位から1位まで順に挙げて少しずつ語っていきます。

 

10. 佐藤優樹赤いフリージア

久しぶりに姿を見せた佐藤優樹。それだけでファンとしては感無量ですが、やはりこの人の存在感は凄かったですね。軽く体を揺らしながらニコニコと笑顔で立っているだけで完璧に絵になる。一緒に歌える曲を、という選曲理由もグッときました。この素晴らしさは映像を見ないとわかりません…

9. 為永幸音:This is 運命

彼女が顔の表情を自在にコントロールできる人であることは知っていました。しかし、声色も含めてここまで多彩な表現ができるとは驚きでした。妄想ランキングで10位に入れていたように良い選曲だとは思っていたのですが、ここまで凄みのあるパフォーマンスだったとは!

8. 平井美葉:もう一歩

きっと素敵なダンスを踊ったのだろうとは予想していました。ところが実際のステージは、ダンス、歌、表情が一体となって、総合芸術とでもいうようなパフォーマンスでしたね。今後どのような境地を切り拓いていくのか、期待が膨らみます。

7. 森戸知沙希夏ダカラ!

彼女が暫く前に喉を痛めたという話は知っていました。確かに数年前の映像を見ると最近より声がよく出ていたことがわかります。しかし、今回の彼女はそんなことはすべて脇に置いて、森戸にしか出せない魅力を存分に出し切ったと感じました。あのセリフパートは、もう反則級のインパクトですね…

6. 島倉りか:ROCKエロティック

『眠れる森のビヨ』で彼女が見せた暗い淵を覗き込むような表情は今も鮮明に覚えていて、『ROCKエロティック』という選曲を聞いた時に、それと通じるものがあるはずと期待して妄想ランキング11位に入れました。結果は期待した通り。彼女が持つ深みのある何かをどう表現すれば良いのかわからないのですが、とにかく魅かれてしまうのです。

5. 牧野真莉愛ブギートレイン’03

妄想ランキング3位の期待を斜め上に超えてきました。歌い方を藤本美貴に寄せたと思うのですが、そもそもあの藤本に寄せられる歌唱力があることが凄いですね。牧野の歌が良くなっているという感想をよく目にしていましたが、ここまでとは驚きました。彼女の中にはまだまだ色々な力が隠されているように感じます。今後がさらに楽しみ!

4. 野中美希:赤いイヤホン

『赤いイヤホン』は自分も大好きな楽曲なのですが、オリジナルの分厚いインストにソロの歌唱で立ち向かうのはかなり難しいはずです。それを自分の編曲とプログラミングで音を削ぎ落としたアレンジがまず素晴らしい。ただそれだけでは曲調が軽くなってしまうところを、間奏でガッシリとキーボードを入れたのが効果絶大でした。佐藤優樹とはまた違うアプローチで楽曲を俯瞰できる才人ですね。

3. 笠原桃奈:Va-Va-Voom

この選曲は良いだろうなあと思って妄想ランキング7位に入れていましたが、実際は想像を更に上回りました。『Va-Va-Voom』はかなり複雑な楽曲で、歌い上げる部分もあればラップ的なところもあり、さらにフェイクもガッツリ入っているのですが、それらをすべて一人で歌いきったのが見事でした。卒業を控えて凄みが出てきた姿は、1年前の船木結に通じるものがある気がします。(訂正:フェイクは彼女のオリジナルでしたね。それもすごい!)

2. 高瀬くるみ:ナルシスカマってちゃん協奏曲第5番

なんでもこなせる器用な人、というのが自分の高瀬くるみに対するイメージで、そのためにつかみ所がない感じをこれまで受けていました。それがなんと、この『ナルシスカマってちゃん協奏曲第5番』での彼女の姿は、あたかも自分の人生をさらけ出して見せているかのような壮絶なものでした。衝撃度では今回のソロフェスで随一だったと思います。

1. 譜久村聖:好きって言ってよ

最初にセトリだけ見た時には「譜久村ならこのくらい歌えるよね」くらいの軽い受け止めだったのですが、実際のパフォーマンスは圧巻でした。しばらく前の対談でつんく♂から「リーダーの立場に甘んじるのではなく、個人としてもっと上を目指すべき」という趣旨のアドバイスをもらっていた譜久村が、最近リリースされた『エキストラ』といい、今回のソロフェスといい、いよいよ進化を見せ始めたのではないでしょうか。イントロでの身のこなしで即座に自分の世界を作り出し、最後まで一切隙のない横綱相撲。今の彼女が本気を出せば誰も簡単には追いつけない、そういうレベルに達していると感じました。

 

ここまで実際に映像を見た印象での1位から10位までについて書きました。11位から先も書きたいことはたくさんあるのですが、きりがないので特に良いと感じた19位までをメンバーと曲名だけ挙げておきます。

11. 稲場愛香ミステリーナイト!

12. 松永里愛:オシャレ!

13. 一岡玲奈:傘をさす先輩

14. 植村あかり笑っちゃおうよ BOYFRIEND

15. 上國料萌衣美少女心理

16. 伊勢鈴蘭:夢幻クライマックス

17. 松本わかな:通学ベクトル

18. 新沼希空:アンブレラ

19. 生田衣梨奈:乙女パスタに感動

 

19位の生田衣梨奈ですが、この人は何がすごいと言って、歌うたびに「最近えりぽん歌がうまくなった」とファンに言わせ続けているのがすごいですね。実際に歌も上達が続いているのでしょうが、聴き手の期待値を巧妙に下げる技を持っているようにも思います。今回ラーメン(スープパスタ?)を食べているのも、実は深い計算があるのかもしれません。(ないですかね?)

 

さて、今回の投稿はこれで終わりますが、ソロフェス!2 の最大の感想は「前回にくらべて全員パフォーマンスが格段に良くなった」ことだと思います。コロナという災いを逆手にとって、なんと素晴らしい成果を出していることでしょうか。

今さらですが、EDMとは? ④

しばらく間があいてしまいましたが、モーニング娘。のいわゆる「EDM路線」に関する話をまだまだ続けていきます。

前回の「今さらですが、EDMとは? ③」では、2009年の『泣いちゃうかも』から2011年4月の『もっと愛してほしいの』までを取り上げました。今回はいよいよ2011年6月リリースの『Only you』(編曲:大久保薫)について語ります。

 

3. 『Only you』こそが “転換点” だった

 

モーニング娘。の楽曲が9期加入以降にEDM路線に転換していったという話はよく言われていますが、その転換がどの楽曲からなのかは人によってまちまちですね。『恋愛ハンター』や『One・Two・Three』を挙げる人が多いですが、フォーメーションダンスに着目して『Help me!!』に注目する人もいて、どれも一理あるように思います。

それにくらべて『Only you』を挙げる人は少数派だと思いますが、この前後の時期の楽曲をひたすら聴き込んでみて、自分としては次の結論に至りました。

  • 『Only you』こそがモーニング娘。の楽曲と歌唱が大きく変化した転換点であり、『Only you』が起こした大転換は2021年の現在まで続いている

だいぶ力んでしまいました。まずは楽曲を聴いて落ち着きましょう。

『Only you』といえば、まず頭に浮かぶのがサビのメロディーですね。「愛しの君へ」から「貫いてね」「君を守る」までの18小節におよぶ長い歌メロが実に印象的です。しかも、この曲は冒頭がサビで始まりますし、その後も1番の後半、2番の後半、最後の間奏明けと合計4回もサビが繰り返されるので、「Only you = サビのメロディー」というイメージを持ちやすい作りになっています。また、これを歌っているのは大半が高橋愛田中れいなであり、2009年から続いてきた “プラチナEDM” の延長上の楽曲だと捉えられやすいものと思います。

ところが、サビ以外の部分に目を転じると景色は大きく変わります。通常多くの楽曲で見られる「Aメロ→Bメロ(→サビ)」とか「Aメロ→Bメロ→Cメロ(→サビ)」という構造が『Only you』にはまったく当てはまりません。自分なりに解析すると、次のような構造になっています。(歌詞は1番のもの)

  • A(4小節):愛は不思議/強くなるの/私じゃない/私がいる
  • B(2小節):Ah 邪魔などさせない
  • A(6小節):愛の力/みせてあげる/君は不思議/無邪気なだけ/そんな所(トコ)が/素晴らしいの
  • B(2小節):Ah こんなの初めて
  • A(2小節):愛の形/知ってほしい
  • C(4小節):誰も彼も君の事をいっぱい/大好きになってゆくのが現実
  • A(4小節):君の魅力/そこが魅力/ほんの少し/時にジェラシー
  • C(4小節):だけど今は君がこの世界/きっと変えてくれること祈ってる
  • C'(3小節):素晴らしい星に変えてください

このように、2小節から6小節の単位で曲が目まぐるしく動いていきます。そして、A、B、C (C') はリズムの点で明確に異なる特徴があります。

  • A:3連符(1拍を3等分)
  • B:4分音符(1拍刻み)
  • C (C'):8分音符(1拍を2等分)

C (C')はさらに、「誰も彼も君の」のように8分音符を3つずつの単位で歌わせることで、Aと似た印象を与えるというトリッキーな構造になっています。

このサビに挟まれた1番・2番の特徴を一言で表せば、「メロディーよりもビートを重視している」ということではないでしょうか。歌っていて高揚感があるのはおそらく C' の3小節だけで、それ以外の部分では「歌はビート表現の道具になった」と言っても過言ではないと思います。

それでも『Only you』は曲のほぼ半分を占めるサビのメロディーが優位に立っていました。しかし、その後の『恋愛ハンター』ではメロディー優位がAメロのみに後退し、さらに『One・Two・Three』に至って楽曲全体をビートが支配するに至ります。

その後、2014年の後半あたりから極端なビート優位ではなくなっていくものの、歌を音節単位で細かくコントロールするモーニング娘。特有の唱法は現在まで10年にわたり綿々と続いています(このあたりについては以前の投稿「鞘師里保の歌唱はリズムセクションである①〜⑥」で一部触れました)。この新しい大きな流れの出発点が『Only you』だったと私は思うのです。

 

さて、次回は『恋愛ハンター』に触れつつ、『One・Two・Three』を中心に語っていく予定です。

 

ステージで譜久村聖が作る土台

一昨日と昨日、ハロプロの春ツアー「花鳥風月」からチーム花とチーム鳥の公演映像が相次いで配信開始されました。ハロプロの5つのグループのメンバーをシャッフルして4つのチームに分けた今回のツアーで、「花」と「鳥」に割り振られたのは次のメンバーでした。

チーム「花」
(モーニング) 譜久村聖野中美希横山玲奈・北川莉央
(アンジュ) 上國料萌衣・為永幸音
(J=J) 井上玲音・工藤由愛
(つばき) 新沼希空小野瑞歩
(ビヨ) 一岡伶奈・島倉りか・小林萌花

チーム「鳥」
(モーニング) 小田さくら羽賀朱音
(アンジュ) 笠原桃奈・伊勢鈴蘭・松本わかな
(J=J) 植村あかり
(つばき) 山岸理子・谷本安美
(ビヨ) 西田汐里・江口紗耶・山﨑夢羽

チーム「鳥」は当初の予定から佐藤優樹高木紗友希の二人が抜けたものの、小田・植村・山﨑・西田・伊勢と歌唱力の高いメンバーが揃っています。「花」と「鳥」がそれぞれどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか、期待して配信を待ちました。

そして・・・。配信を観た結果、2つのチームから私が受けた印象はかなり違っていました。一言で言ってしまえば「花」のステージに感動したということなのですが、問題はそれがなぜかです。いつものように思い込みと妄想だらけになりますが、掘り下げてみたことを書いていきます。

 

最近たまたま目にしたYouTube動画のコメント欄に「音声を消してステージ映像を見ると誰がダンスが上手いのかがよくわかる、と鞘師里保が言っていた」という内容が書かれていました。これはとても興味深いと思い、試しに '14 の映像を音声ミュートで見てみると、鞘師が際立っているのは予想通りとして、道重さゆみの動きも非常に目を引くことに気づきます。

道重と鞘師は単に個人として目立っているというのではなく、パフォーマンスしている楽曲の一瞬先の世界を先取りして、全身の微かな動きでそれを表現しているように感じます。ステージ上でこの二人の動きを肌で感じる他のメンバーは否応なく巻き込まれ、その結果としてあのような結束力と説得力に溢れたステージが出来上がったのではないでしょうか。

 

では、同じように今回の「花」と「鳥」の映像を音声無しで見てみるとどうでしょうか。

チーム「花」では、まず圧倒的に譜久村聖の動きに目が吸い寄せられます。決して大きな動きではないけれど、楽曲の最初から最後まで全身に一瞬の隙も作らない完璧なポージング。楽曲の中で鳴るすべての音が体に入っていて、それが体のどこかですべて表現されています。

そして、彼女が動き出すタイミングと動きの緩急、息を吸うブレスの深さ、そういったものがステージ上のメンバーに伝わり、全員が共通して頼れる土台が出来上がっているように感じられます。その土台の上で、上國料萌衣小野瑞歩・工藤由愛・為永幸音といったメンバーが安心して弾けていて、全員が個性を十分に出し切りながら一体感もある素晴らしいステージとなりました。

「花」ではもう一人、野中美希の存在も大きいと感じました。譜久村とはまた違う身のこなしで、A地点からB地点に最短距離でシャープに動くとでも言いましょうか。周囲のメンバーは、野中から大きくズレなければ大丈夫というような、頼れる柱になっていたものと思います。このところ進境著しい野中ですが、譜久村・野中の二人が引っ張るモーニング娘。を見てみたいと思いました。

一方、チーム「鳥」はどうだったでしょうか。音を消した画面から伝わってくるのは、小田さくら植村あかり・山﨑夢羽・西田汐里といったメンバーが全力で頑張っていることです。ただ、その頑張っている動きのスタイルが一人一人かなり違っているために、一つのパワーにまとまっていかないもどかしさをどうしても感じてしまいました。

土台がしっかりしていれば、歌やダンスが多少乱れても勢いで走る抜けることができるでしょう。しかし、個々の頑張りに頼るパフォーマンスは綱渡りのようなものとなり、一つのミスをも恐れざるを得なくなってしまう。グループパフォーマンスの奥深さを垣間見た気がします。

 

6年半にわたってモーニング娘。のリーダーを務め続けている譜久村聖。その経験と力がダテではないことを今回改めて思い知らされました。そして、今回の「花鳥風月」がハロプロメンバーにとって更なる成長の場になっているだろうことも感じられました。次は来週、「風」と「月」の配信が楽しみです。

【ネタバレ】森ビヨが凄かった!

この投稿ではBEYOOOOONDS(演劇女子部)のミュージカル公演「眠れる森のビヨ」について語ります。まだ観ていないが観る予定のある人にはお勧めしませんし、1度観ていて今後2度目を観る予定のある人も読まないほうが良いかもしれません。

 

 

それでは、もう少し下から書き始めます。

 

 

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自分はつい先ほど2度目を観てきました。既に観た皆さんもそうではないかと思いますが、1度目はとにかく意外な展開に追いつくのがやっとだったので、2度目はこのストーリーがどのように仕組まれているものなのかを、冒頭からじっくりと目と耳をフル稼働させて舞台で起こることを観察していきました。

ああこういう伏線があったのか、1度目はここで幻惑されたのか、といろいろ気付くことがあったのですが、心の中で「あっ!!」と叫んだのがステージの終盤、バス事故で演劇部員の皆が倒れ命を落とすシーンでした。

これって LILIUM の最後と同じではないか?!

気が付いてみれば、なぜ1度目に観た時に気がつかなかったのか不思議なくらいです。でも一旦そう思うとあれやこれやがどんどんつながってきて、もはや自分の頭の中では「森ビヨは BEYOOOOONDS版 LILIUM である」としか考えられなくなりました。

まず何と言っても、ヒカルの夢の中に現れている演劇部が、LILIUMでリリー達がいたクランの少女達と鮮やかに重なります。

繭期の吸血種が収容されるクランでの生活、しかしそこで経験したはずのことがファルスに操作された記憶なのかもしれず、更にはそれらのすべてが繭期の幻想なのかもしれない、という重層構造が LILIUM にあります。一方森ビヨでは、ヒカルの夢の中での演劇部の活動とヒマリの住む現実世界が重なり、さらに物語の前半ではむしろヒマリの方が幻影であるかのように見せることで、こちらでも現実と幻想が複雑に織り重なった構造になっています。

リリーはイニシアチブを取って少女達全員を自死させることによってクランを終わらせ、自分自身は不老不死の存在として生きていくこととなりました。一方のヒカルは、自分の遅刻がなければ起こらなかった事故で命を落とした演劇部のメンバー全員と決別し、現実世界を生きて行くことを選択します。

ヒマリの存在も LILIUM と色々重なります。秘密を暴く先導者の役割はシルベチカであり、ヒカルの心の支えになる部分はスノー、対話を続けて寄り添い続けるところはチェリーでもあります。

ヒカルが現実世界に戻らず夢の中にとどまる選択をしたらどうなったでしょうか。自分の想像では、バス事故の直前でリセットが起こって物語の冒頭に戻るというループを何度も繰り返すのだろうと思います。クランの秘密が暴かれるたびに少女達の記憶をファルスがリセットしたように。

 

というわけで、観劇後の興奮状態でいろいろ書いてしまいました。当然ながら私の妄想であり、森ビヨの脚本を書いた中島庸介さんが LILIUM を模したということはないでしょう。ただ、音楽が LILIUM と同じ和田俊輔さんだということで、私の意識が刺激されたのかもしれません。

 

ついでにもうひとつ。終演時にお辞儀をする平井美葉の姿が、私にはLILIUMや黑世界での鞘師里保の姿と重なって見えました。どなたかがツイートでも書いていましたが、森ビヨはハロプロの歴史に残る名作・名演となるのではないでしょうか。

 

今さらですが、EDMとは? ③

前回の投稿(「今さらですが、EDMとは? ②」)では、モーニング娘。の楽曲でEDM音が目立ち始めた2003年から2007年について書きました。今回取り上げるのは2009年、プラチナ期の真っ只中でEDM音が支配的な楽曲が連続して出現した時期からです。

 

2. "プラチナEDM" の確立と展開

 

2009年2月リリースのシングルでA面曲に入った『泣いちゃうかも』(編曲:大久保薫)は、このあと連続して押し寄せるEDM調の楽曲群の先鋒となりました。

インストの音の大半が打ち込みで、高音から低音まで様々な音が重なっている中で、特に低音部が軽快に動くことによって曲のリズムとビート感を巧みに支配しています。そこに影のあるウェットなボーカルが乗る形が、このあと続くプラチナ期楽曲の定番となっていきました。

『泣いちゃうかも』はまた、大久保薫がモーニングのシングル曲を初めて編曲した作品であることも注目ポイントです。これ以前、大久保薫Berryz工房GAM℃-ute後藤真希などのハロプロ楽曲を10数曲手がけていましたが、モーニングではアルバム曲3曲に参加していたのみで、これらの楽曲の曲調も『泣いちゃうかも』とはかなり異なっていました。ところがこの曲以降、彼はモーニング楽曲のアレンジャー兼プログラマーとして中心的な存在となり、EDM色の強化を推し進める役割を担うことになります。

 

続いて2009年2枚目のシングルは、5月リリースのしょうがない 夢追い人。編曲は前回の投稿で注目した平田祥一郎です。インスト、ボーカルともに音の構造は『泣いちゃうかも』とほぼ共通していると言えるでしょう。

 

そして、この年3枚目のシングル(8月リリース)A面曲なんちゃって恋愛(編曲:大久保薫)も同じ曲調が続き、この3連打でプラチナ期特有のEDM楽曲スタイルが確立したと言えると思います。

 

2009年最後のシングル(10月リリース)はA面曲が気まぐれプリンセス(編曲:大久保薫)、カップリング曲が『愛して愛して後一分』(編曲:平田祥一郎)ですが、このあたりから曲調に新しい展開が加わっていきます。それまでの3曲がひたすらウェットで内向的な印象なのに対して、徐々に積極的に外に攻める雰囲気が出てきて、それに合わせて曲の速度(BPM)が上がりはじめました。『泣いちゃうかも』がBPM122程度なのに対して、『気まぐれプリンセス』は136くらいで、それだけでも楽曲が与える印象はずいぶん変わります。

 

翌2010年に入ると少し違う曲調の楽曲がしばらく続きますが、3枚目のシングル(11月リリース)で女と男のララバイゲーム(編曲:平田祥一郎)、『愛され過ぎることはないのよ』(編曲:大久保薫)が出ました。BPMはさらに上がって140を突破しています。

ユーロビート調の『愛され過ぎることはないのよ』は、インストの音色がその後の楽曲に向けて一歩踏み出した感じを受けます。それまでは打ち込みであってもアナログ楽器を模した音が要所で使われている印象が強いのですが、ここではデジタルな音が敷き詰められている感じがします。翌月にリリースされたアルバムに収録された『Fantasyが始まる』(編曲:大久保薫)も同様で、9期が加入する直前のこの時期にゴリゴリにエレクトロな音が前面に出てきました。

 

2011年4月リリース、9期デビューシングルのカップリング曲『もっと愛してほしいの』(編曲:大久保薫)はBPMが156に達し、この時期の楽曲の中では『まじですかスカ!』のようなコミカルな曲を除いた最速を記録しました。歌メロは2009年以来のウェットな路線ですが、BPMが速いのと9期の幼い声が加わったことで、曲から受ける印象はそれまでとかなり違います。

 

そして2ヶ月後の6月に『Only you』(編曲:大久保薫)が出ます。自分はハロプロ楽曲を初めて聴いたのが ”ひなフェス2019” の『Only you』と『One・Two・Three』のメドレーで、その後も数え切れないほど聴き返しているために、もはやこの曲を客観的に語るのは難しいのですが、それでもやはり『Only you』はモーニングの楽曲をさらに一歩前進させた重要な作品だと思います。

次回は、この『Only you』から恋愛ハンター(編曲:平田祥一郎)へと展開していく様子を取り上げていきます。

 

That's J-POP クイックレビュー

私の手元にも届きました、モーニング娘。の新アルバム。さっそく2周しましたが、これは素晴らしいですね。しばらくはこのアルバムだけリピートして暮らしていけそうです。

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詳しくはこれから聴き込んでいきますが、今回は耳が新鮮なうちに感じたことをメモしてみます。既発のシングル曲は既に聴き過ぎてしまっているので、それ以外の曲について語ります。

 

1. 愛してナンが悪い!?

1周目を聴いている最中に思わずツイートしてしまいましたが、イントロの数秒だけで意識を持って行かれました。この音とビートの感覚はどこかで聞き覚えがあるような気もしつつ、とても新鮮な印象を受けます。

歌に入って、ジュージュージュー、Choo Choo Choo、と韻を踏んでいくところが天才的な気持ち良さですね。Berryz工房の『なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?』に通じるものがある気がします。

比較的少ない音数でビートに乗せていくインストがなかなかのインパクトだと思うのですが、編曲は江上浩太郎。『女に 幸あれ』や『青春小僧が泣いている』を手がけた人ですが、最近はあまりモーニングの楽曲に関わっていなかったようです。ところが今回のアルバムでは、新収録8曲のうち3曲を担当しています。楽曲に新しい風を吹かせようとしているのでしょうか。

 

3. 信じるしか!(生田、石田、小田、加賀、森戸、岡村)

ハロプロ楽曲にはインド・中東風のインストが結構頻繁に登場しますが、他がアップテンポで陽気な曲が多いのと違って、スローで落ち着いた曲調なのがユニークですね。

世界にゃ100億の人生、長くて100年の人生、と深遠な歌詞で、聴いているうちに悟りに近づけそうな気がしてきます。

ラスサビ後の一番最後の部分、「最強のカワイイ私」と歌うところで岡村ほまれの声が立ち上がってくるのが印象的。

 

4. TIME IS MONEY!(佐藤、野中、横山、山崎)

まずイントロが素晴らしい。ほぼ同じフレーズを1小節×4回繰り返すだけなのですが、聴き手を一気に曲に集中させてそのまま歌に入っていく展開が秀逸だと思います。この曲も江上浩太郎が編曲しています。

参加メンバーがこの四人なのがとても面白いですね。硬質な声に特徴が出る佐藤・野中に対して、柔らかい丸い声の横山、そして硬軟両方の魅力が未分化なまま並存している山崎。山崎愛生の歌声が今後どのように発展していくのか、モーニングの楽曲がそれをどう活かしていくのか、興味が尽きません。野中の歌声にある深くてダークな質感の魅力にも改めて気がつきました。

 

5. 泣き虫My Dream

この曲のMVがほしいです。メンバー一人一人の歌声の特長が良くでていて、いまこの瞬間のモーニング娘。を切り取って記録しておくのに一番良い曲ではないでしょうか。

スローバラード調でありながら低音のビートが重く鳴り響く編曲も素晴らしい。両A面曲やトリプルA面曲としてシングルに入っていてもまったく遜色のない、スケールの大きな楽曲だと思います。

 

6. 二人はアベコベ(譜久村、牧野、羽賀、北川)

モーニングには珍しいスイングビートのチャールストンっぽいジャズ調の楽曲。こんなウッドベースの音を打ち込みで作れるとはすごい世の中になったものです。軽快でおしゃれな感じの曲調も、モーニングではなかなかレアで楽しいです。

自分の耳が雑にできているためなのでしょうが、譜久村聖と北川莉央の声がなかなか聴き分けられないという現象が発生しています。この二人の声はひょっとすると物凄く相性が良いのではないでしょうか。二人のデュエットを聴いてみたい!

 

7. 純情エビデンス

既発曲なのでコメントする予定ではなかったのですが、この曲はやっぱり凄いです。近年のモーニング娘。の「代表曲」と呼んで良いのではないでしょうか。

重さと軽快さ、宇宙的な広がり感とミニマルな繊細さ。歌唱には歯切れの良さとウェットな質感が共存していて、インストは4、8、16のビートが絶妙にバランスされていて音の見通しが良い。

もはや大御所感すら漂っていて、アルバムのほぼ中央に配置されていることにも意味を感じます。

 

8. このまま!

いきなり始まる歪んだギターリフ。ハードロック的な重いサウンドの上に軽快なシンセが乗り、そこに明るい歌声が響くというブレンドが強力ですね。歌の元気な感じは『Go Girl 〜恋のヴィクトリー〜』を思い出しました。

 

11. Hey! Unfair Baby

コンサート映像ではもちろん聴いたことがあったのですが、音源で初めて聴いてバリバリのロックサウンドなのに驚きました。そしてボーカルの素晴らしさにも。

8ビート主体のロック調の歌メロをそのままのビート感で歌うと、アタックが強くなるのと同時に粘っこくもなりがちだと思うのですが、16ビートを鍛え抜かれた彼女たちの歌は極めて歯切れが良い。これは簡単には作れない、長年の経験の蓄積があってこその歌唱なのではないでしょうか。

アレンジはサビの部分で明るい要素がかなり入ったりしていますが、完全にハードロックに振り切った別アレンジを聴いてみたいですね。

 

12. 恋愛Destiny~本音を論じたい~

続いてこの曲もロック調。今回のアルバムの後半はロックサウンドで押してきている印象です。一つ前の曲のところでも書きましたが、今のモーニング娘。の歌唱能力を際立たせるのにロックビートはとても合っているように思います。

間奏のギターソロが、ヘヴィーメタル界隈でいう”クサメタル”っぽさを包み隠さず出していて、なんだか振り切れていますね。コンサートの終盤で、否応なく盛り上がらされてしまう感じでしょうか。

 

15. 青春Night

既発曲ですが一言。MVに出てくる森戸知沙希のゴーグル姿の印象が強過ぎる楽曲ですが、今回初めて音源をしっかり聴いてみて、ものすごく凝った作りの曲なのがわかりました。

ブラス音を多用した打ち込み音が主体の中で、クリーンなギターが気持ち良いなと思ってクレジットを見ると「Guiter: 鈴木俊介」と書いてあってびっくり。他のアレンジャーが編曲した楽曲でギターを弾くこともあるのですね。

 

ということで、『That's J-POP』を聴いた初日の感想は以上となります。ちょこちょこと色々書きましたが、全体を一言でいえば「今のモーニング娘。を全力で聴かせてくれる素晴らしいアルバム」だと思いました。

さあ、もう1周するぞ!