ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

バンドさん

絶賛を集めている今年6月28日以来のベビメタですが、その中で不満の声が多いのが神バンドの仮面ですね。今回は「今年の神バンドはなぜ仮面をつけなければならないのか」について考えてみます。

BABYMETALにおける神バンドの位置付けについては、かねてから背後に隠され過ぎではないかとの問題意識がファンの間で強かったと思います。しかもそれは運営に対しての不満だけではありません。かつてのインタビューで、3姫の誰であったかが神バンドを「バンドさん」という距離を持った表現で呼んでいたことが、結構な衝撃を持って受け止められたこともありました。

先月からの最新版BABYMETALは、「原点回帰」と呼ばれたり、あるいは漠然とした表現ではありますが「アイドル性が再び高まった」と感じさせるものがあるように思います。それと同時に神バンドが仮面をつけて現れたため、バンドの位置付けがかつての骨バンドのようになっていくのではないかとの論評も目にしました。

自分が愛するBABYMETALにおいて神バンドは必須なのか。昨年3月に投稿した「本質」と題するブログで私は次のように書きました。

『ベビメタの初期のようにバンドの音が録音の場合はどうなのか。生の方が良いのは間違いないですが、生バンドでなければ絶対ダメかというと、そうでもない気がします。音楽の質が高くさえあれば、形は二の次だと思うのです。』

自分がこう書いたことを思い出しながら、それでは今のBABYMETALのライブがバンドのカラオケ音源でも成り立つと自分は思うのかどうか、試してみることにしました。

まずは、公式音源が出ている最近の曲を改めて聴いてみます。Distortion、Starlight、Elevator Girl、そして PA PA YA!! … いやあ、これは … 生バンドでないと無理でしょう! エレガはカラオケでもなんとか行けそうな気がしますが、それ以外は絶対にダメ。

比較のために、2nd アルバムを一通り聴き直してみました。すると、Road of Resistance は厳しい気がするものの、それ以外はカラオケでも質の高いパフォーマンスができそうに感じます。クリックの拍子に合わせさえすれば(それ自体がとても難しいことなのでしょうが)、バンドの音とフロントの歌とダンスとがきっちりシンクロして高水準のライブパフォーマンスを実現できるように楽曲が作られているように思われます。

ところが昨年からリリースされた新曲群はかなり違う。フレーズ毎の微妙なタメ(こういうのをグルーヴというのでしょうか?)を、ステージのその場で共鳴し合って演奏・演舞しなければ、あの感動を呼び起こすことは到底できない。BABYMETALの楽曲はそのような音楽に変質・進化したのだと私は思います。

そんな風に徐々に感じながら、今度は横浜と名古屋の現場映像を見直していったのですが、そこで驚いたのがアルカディア(仮)!!  神バンドとフロント3人が渾然一体となってウネる姿のなんと凄まじいことでしょうか。実は正直なところ自分はアルカディアをあまり気に入っていなかったのですが、突如としてその真価を理解しました。これは本当に凄いです、特に名古屋!!!

さて、このように考えると、BABYMETALのフロント3人と神バンドとの関係は、今やかつてなく緊密になったと言えるはずです。それなのに、なぜ神バンドのメンバーは仮面を付け、その存在を背後に押し込んでいるのでしょうか?

ステージ上でのパフォーマンスがここまで緊密化している以上、普通の見せ方をしていれば3人+4人の姿は「全員がかけがえのないメンバー」として観衆の目に映るでしょう。しかし、フロントの3人目が未確定だとしている現状では、SU・MOAの二人とバンドの緊密化が先行するとバランスを欠いてしまいそうな気がします。フロント3人と神バンドは、同心円ではあっても一つの同じ円ではない。フロント3人を固めていくことをあくまで優先する必要があるのだと思います。また、神バンドのメンバーを常に固定することができないことも影響しているでしょう。

もはや完全に妄想ですが、神バンドの仮面は、フロントとの関係が深まったからこそ必要になった、というのが私の解釈です。

ここでふと思い出したことがあります。最近の anan での対談で SU-METAL がこんなことを話していました。「ライブの曲の話になると、色や絵とか、擬音で表現するんです」「いつの間にかセットリストが謎の絵にまみれてることはよくあるよね(笑)」「最近バンドメンバーとも絵をシェアするようになったけど…」

これを読んだ時は、SUが描いた謎の絵が見たい!、などと別の方に気を取られてしまったのですが、実はここにはとても重要な情報が含まれていたのでした。最近になってSUが楽曲のイメージを神バンドに対して発信し始めたこと。そして、「バンドさん」ではなく「バンドメンバー」と今は呼んでいること。これらから、ステージ上での楽曲表現に向けたメンバー間の関係性に重要な成長があることを読み取れると思うのです。

いやはや、いつもながらの妄言ですが、一つこれだけは確実に言えます。BABYMETALは神バンドとともに確実に進化している。そして、今後フロント3人が固まる日が来れば、同時に神バンドの姿が鮮明な形で現れてくるものと私は予想しています。