ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

アリーナの空間を満たす力

The Forum のライブをステージ上手側のシート席から目撃しました。この角度だとステージを真横から見ることになるので、フロント3人を見ているとステージ奥の巨大スクリーンは目に入りません。むしろ見えるのはメンバー3人と彼女達が向き合っている客席のみ。この状態で何を感じたかを今回は書いてみます。

最初から数曲の間自分が感じていたのは、率直に言って今日は苦戦しているなあということでした。ソールドアウトとアナウンスされていたものの、スタンディングのGAには後ろの方にかなり隙間があり、シート席の埋まり具合も8〜9割くらいだったでしょうか。ギチギチに埋まっていればそれ自体が熱量を生み出すけれど、この日は自分達のパフォーマンスで熱を起こしていかなければいけない状況だったと思います。そういえばウェンブリーのステージのことを、SU-METALが最初はアウェーな感じだったと語っていましたが、それもこの日と似た状態だったのかもしれません。

さてステージが始まって少し経った頃、あれはメギツネの途中だったでしょうか。ふとステージのスクリーンに目をやると、大きく映し出されたSU-METALが既にかなりの汗をかいて顔が紅潮しているではないですか。このところ涼しげな顔の彼女を見慣れていたのでこれには少し驚きました。今日はこれまで続けてきたライブハウスでのパフォーマンスと同じでは足りない。ひと回りもふた回りもエネルギー出力を高めなければ会場全体を熱狂させることはできない。彼女はそう考えていたのだろうと思うのです。

その後 Elevator Girl、Shanti Shanti Shanti と続きますが、自分にはなんとも言えず空回りしているように感じられて、パフォーマンスを楽しむことに集中できない状態が続きました。決して悪いステージではないのですが、ライブで感動を得るのに必要な何かが自分には伝わってこないのです。

それが突然変わったのが Kagerou でした。バンドのソロが終わって曲に入った瞬間からもう全然違う。「これを待ってた!」と心の中で叫びました。でもどうして急にこんな変化が起きたのかはわかりません。その時、近くの人が3人の方を指差して何か話している姿が目に入りました。なんだろうと思って自分も目を凝らすと、そこで目に飛び込んできたのが鞘師里保の姿だったのです。

鞘師のダンスの素晴らしさは改めて語る必要などありませんが、この日に衝撃的にわかったことは「彼女の力は広いアリーナの隅々まで強く届く」ということ。そして、それは彼女一人が目立つということではなく、「ステージ上の全員の力を増幅させる効果を持っている」ということです。Kagerou の次に演奏された Starlight は、鞘師という強靭な土台の上で SU-METALのハイトーンがアリーナを貫き通す壮絶なステージとなりました。自分が今どこにいるのかを忘れる、まさに異世界体験です。

こんなことを書きながら改めて気になるのが、今年3月に鞘師が登場した「ひなフェス」のステージです。Only you 〜 One・Two・Three の動画を数えきれないほど繰り返して見ましたが、あのとき現場の幕張メッセ国際展示場で鞘師がどんな空気を作り出したのか。共演した現役メンバーのパフォーマンスがいつもと全然違っていたという話ですが、それが一体何であったのか。できることなら現場に居合わせたかったです。

そうこうする内に、YouTubeに当日の映像が続々と上がってきました。ステージ正面から捉えた上質な動画もあって、それを見ると自分が現場で見たものと随分印象が違っていたりします。こんなところもライブに行く面白さですね。次は11月のSSA大阪城ホール。何を目撃することになるか楽しみです。

 

<追記>

この投稿は百々子に対して失礼だとのコメントをいただきました。その点は投稿前に私も考えたのですが、誰かを相対的に低く評価していると受け取られる可能性がある点では、SU、MOA の2人に対しても同じことが言えます。ただ、そのように気にし始めると、何かを良いと思っても何も発言できなくなってしまいそうだと考え、今回の文章を投稿することにしました。

ライブ終了直後にツイートしたのですが、百々子に関しては RoR 終了後の "We are ?!!!" の時に見せた素晴らしい表情がとても印象的でした。考えてみると、彼女は横浜も名古屋も出ていなかったので、アリーナは今回が初めて。しかもいきなりアメリカの著名な会場に出たわけですから、緊張は半端なものではなかったでしょう。最後の「やり切った!」という彼女の満面の笑顔は本当にプライスレスでした。