ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

とつなん

今回は話題になっている突発性難聴(略称:突難)について、自分の経験から書かせていただきます。

10年前のある朝、目が覚めると右耳に突然の耳鳴りが大きく響いていました。耳鳴り自体は時折経験がありましたが、それまでとは大きさが違ったので驚いて、慌てて近所の耳鼻科に向かいました。医師によると突発性難聴というものである可能性が高いとの診断でした。

突発性難聴とは読んで字の如く突然起こる難聴ですが、特徴は片耳にしか症状が出ないこと、そして難聴が起きた原因がわからないことです。原因がわからないので明確な治療法もないのですが、経験的にステロイド投与がある程度有効だということで、私も5日間ほど入院してステロイドの点滴を受けました。

しかし、ステロイド投与が終わっても症状はほとんど改善しませんでした。西洋医学ではこれ以上何もできないと言われ、暗い気持ちになって数日を過ごしていましたが、難聴専門のハリ治療をしているところがあると聞き、そこに数ヶ月通う中で徐々に症状が軽くなっていきました。今では一部の周波数帯で聴力が十分でないところが残っているものの、生活には全く支障がないところまでになりました。

難聴の辛さというのは、自分の場合主に二つありました。

一つは、聴こえる音のボリュームが小さいことよりも耳鳴りや音のヒビ割れが不快だということです。特に音のヒビ割れは、音楽を聴くのが好きな自分にとって重大問題でした。当時好んで聴いていたのはクラシックやジャズでしたが、変なノイズが入った音に聴こえてしまうため、ほとんど聴く気持ちになれません。人生の楽しみの大半を失ったような気持ちがしたものです。

もう一つは、たくさんの音の中から聴きたいものを選り分けられないことで、動物に耳が二つあることの意味を思い知りました。一番困ったのが客で賑わっている飲食店で食事をする時です。人の話し声が四方八方で鳴り響いている中で、自分の聴きたい相手の声を選んで聴き取ることが大変難しい。耳が二つあることで音の方向を瞬時に感じ取れていたということが、難聴になってよくわかりました。ハリ治療で症状が軽くなるまでの間は、外食をしたいという気持ちになれませんでした。

菊地最愛さんが突発性難聴を発症したのは2019年夏とのことですね。自身の生誕祭公演もあった多忙な中で、早期治療の機会を逃していなかったことを願うばかりです。ステロイド投与にしてもハリ治療にしても、一日でも早く開始する方が効果を得られやすいと言われていますので。

そして、おそらく相当の不快感と闘いながらあれだけのパフォーマンスを続けてくれていたことに敬服します。今では発症から1年近くが経って、うまく難聴との折り合いをつけられていることを祈っています。