ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

今さらですが、EDMとは? ①

モーニング娘。をはじめハロプロの楽曲にEDMが多いというのは広く知られたことだと思いますが、ところでそもそも「EDM」というのはどういう音楽なのでしょうか。自分もブログの中でEDMという言葉を使っていますが、そもそも自分がEDMという言葉を知ったのはモーニングの曲を聴くようになってからですし、ハロプロ以外の音楽でEDMというものを意識して聴いたことはほぼありませんでした。

さすがにこれではいけないだろうと思い立ち、EDMについて少し調べてみることにしました。まずは Wikipedia を検索すると、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)の説明は次のように始まっています。

エレクトロニック・ダンス・ミュージック(英: Electronic dance music)とは、シンセサイザーシーケンサーを用い、主にクラブないしは音楽を中心に据えるエンターテインメントの場において、その場の人々を踊らせるという目的の元作られたダンスミュージックのことである。EDMとも呼ばれる。
曲はデスクトップミュージック (DTM) として制作されることが多い。またDJによって再生されるために制作する事が多いため、音楽家は作曲・プロデュース業だけではなくDJ業も兼ねていることが多い。

また、さらに調べると、EDMには様々なジャンルがあるということもわかってきました。エレクトロ、ユーロビート、テクノ、ハードスタイル、ハウスミュージック、トランス、ドラムンベースダブステップ、プロステップ、等々。これらのジャンルが更にサブジャンルに分かれているようなので、ヘビーメタル並みにバラエティに富んだ世界ですね。

それぞれのジャンルで代表的とされているようなアーティストの音楽を片っ端から聴いてみましたが、そうやってわかったのは、ハロプロの楽曲で聴く音に近い要素を持っているのは、たくさんあるジャンルの中でもユーロビートとハードスタイルの2つに限られるということです。

ユーロビートの方は馴染みのある人が多いと思います。'80年代中頃のダンスミュージックといえばこれでした。BABYMETALが2019年の3rdアルバムに収録した『DA DA DANCE』がユーロビートをオマージュして話題になりましたね。日本では今も根強いファンがいるようで、コンピレーションアルバムのティーザー動画を見つけたので貼っておきます。

モーニング娘。ユーロビートが思い切り前面に出ている楽曲と言えば、何と言っても『女に 幸あれ』(編曲:江上浩太郎)でしょう。高橋愛がリーダーに就任した直後の2007年7月リリースで、プラチナ期はユーロビートで幕を開けたのでした。

 

さて、それではもう一つのハードスタイルとはどのような音楽でしょうか。これも Wikipedia によると、2000年前後にオランダで始まってヨーロッパ各国に広がっていったスタイルのようです。オランダ出身のハードスタイルDJである Atmozfears のライブ映像を貼りますので、最初の5分間くらいだけで良いので聴いて見てください。

この音を聴いて、「あー、これこれ!」と思いませんでしたか? ハロプロ楽曲のあれこれの中で鳴っている音と共通のパーツが散りばめられている感じがします。

このようなハードスタイルの音楽を暫く聴き込んだ上でハロプロ楽曲に戻ると、いろいろなことに気づくようになりました。中でも大きな点は、いわゆるEDM的な楽曲には「(A) ハードスタイルと共通の音がインストに使われている楽曲」と、「(B) ボーカルを含めた曲全体の構造がハードスタイル的に組み立てられている楽曲」の2種類があるということです。

この2種類の違いを示してみましょう。(A)の例として2009年のモーニング楽曲『なんちゃって恋愛』(編曲:大久保薫)をまず聴いてみてください。

ハードスタイルで聴かれるドラムやキーボード的な音色が曲全体を通して鳴り続けています。ただ、この楽曲の歌メロは歌謡曲調で、バックのインストも”歌謡曲の伴奏”の形をしています。音色がハードスタイル的である必然性はなく、もっと別の楽器や音色でも十分に成立する音楽でしょう。

次に(B)の例で、2013年の『君さえ居れば何も要らない』(編曲:平田祥一郎)です。

この曲でまず感じるのは、歌と伴奏という分かれ方をしていないことです。むしろ、インストが形作る構造の中にボーカルが組み込まれていて、歌も楽曲を構成する材料の一つになっている感じがします。インストをアナログ楽器で編曲し直すことはできるでしょうが、そうなればもうまったく別の楽曲になってしまうでしょう。

(A)のタイプの楽曲はハロプロ全体に多数存在していますが、(B)のタイプは2012年から2014年のモーニングでしか見られない特殊な楽曲群であることもわかってきました(わずかな例外がありますが)。

次回からの投稿では、時間の経過とともにモーニングのEDM楽曲がどのように移り変わってきたか、(B)タイプの曲がモーニング楽曲の歴史の中でどのようなインパクトを持っているのか、などについて書いていこうと思います。