ベビメタ七転八倒

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That's J-POP クイックレビュー

私の手元にも届きました、モーニング娘。の新アルバム。さっそく2周しましたが、これは素晴らしいですね。しばらくはこのアルバムだけリピートして暮らしていけそうです。

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詳しくはこれから聴き込んでいきますが、今回は耳が新鮮なうちに感じたことをメモしてみます。既発のシングル曲は既に聴き過ぎてしまっているので、それ以外の曲について語ります。

 

1. 愛してナンが悪い!?

1周目を聴いている最中に思わずツイートしてしまいましたが、イントロの数秒だけで意識を持って行かれました。この音とビートの感覚はどこかで聞き覚えがあるような気もしつつ、とても新鮮な印象を受けます。

歌に入って、ジュージュージュー、Choo Choo Choo、と韻を踏んでいくところが天才的な気持ち良さですね。Berryz工房の『なんちゅう恋をやってるぅ YOU KNOW?』に通じるものがある気がします。

比較的少ない音数でビートに乗せていくインストがなかなかのインパクトだと思うのですが、編曲は江上浩太郎。『女に 幸あれ』や『青春小僧が泣いている』を手がけた人ですが、最近はあまりモーニングの楽曲に関わっていなかったようです。ところが今回のアルバムでは、新収録8曲のうち3曲を担当しています。楽曲に新しい風を吹かせようとしているのでしょうか。

 

3. 信じるしか!(生田、石田、小田、加賀、森戸、岡村)

ハロプロ楽曲にはインド・中東風のインストが結構頻繁に登場しますが、他がアップテンポで陽気な曲が多いのと違って、スローで落ち着いた曲調なのがユニークですね。

世界にゃ100億の人生、長くて100年の人生、と深遠な歌詞で、聴いているうちに悟りに近づけそうな気がしてきます。

ラスサビ後の一番最後の部分、「最強のカワイイ私」と歌うところで岡村ほまれの声が立ち上がってくるのが印象的。

 

4. TIME IS MONEY!(佐藤、野中、横山、山崎)

まずイントロが素晴らしい。ほぼ同じフレーズを1小節×4回繰り返すだけなのですが、聴き手を一気に曲に集中させてそのまま歌に入っていく展開が秀逸だと思います。この曲も江上浩太郎が編曲しています。

参加メンバーがこの四人なのがとても面白いですね。硬質な声に特徴が出る佐藤・野中に対して、柔らかい丸い声の横山、そして硬軟両方の魅力が未分化なまま並存している山崎。山崎愛生の歌声が今後どのように発展していくのか、モーニングの楽曲がそれをどう活かしていくのか、興味が尽きません。野中の歌声にある深くてダークな質感の魅力にも改めて気がつきました。

 

5. 泣き虫My Dream

この曲のMVがほしいです。メンバー一人一人の歌声の特長が良くでていて、いまこの瞬間のモーニング娘。を切り取って記録しておくのに一番良い曲ではないでしょうか。

スローバラード調でありながら低音のビートが重く鳴り響く編曲も素晴らしい。両A面曲やトリプルA面曲としてシングルに入っていてもまったく遜色のない、スケールの大きな楽曲だと思います。

 

6. 二人はアベコベ(譜久村、牧野、羽賀、北川)

モーニングには珍しいスイングビートのチャールストンっぽいジャズ調の楽曲。こんなウッドベースの音を打ち込みで作れるとはすごい世の中になったものです。軽快でおしゃれな感じの曲調も、モーニングではなかなかレアで楽しいです。

自分の耳が雑にできているためなのでしょうが、譜久村聖と北川莉央の声がなかなか聴き分けられないという現象が発生しています。この二人の声はひょっとすると物凄く相性が良いのではないでしょうか。二人のデュエットを聴いてみたい!

 

7. 純情エビデンス

既発曲なのでコメントする予定ではなかったのですが、この曲はやっぱり凄いです。近年のモーニング娘。の「代表曲」と呼んで良いのではないでしょうか。

重さと軽快さ、宇宙的な広がり感とミニマルな繊細さ。歌唱には歯切れの良さとウェットな質感が共存していて、インストは4、8、16のビートが絶妙にバランスされていて音の見通しが良い。

もはや大御所感すら漂っていて、アルバムのほぼ中央に配置されていることにも意味を感じます。

 

8. このまま!

いきなり始まる歪んだギターリフ。ハードロック的な重いサウンドの上に軽快なシンセが乗り、そこに明るい歌声が響くというブレンドが強力ですね。歌の元気な感じは『Go Girl 〜恋のヴィクトリー〜』を思い出しました。

 

11. Hey! Unfair Baby

コンサート映像ではもちろん聴いたことがあったのですが、音源で初めて聴いてバリバリのロックサウンドなのに驚きました。そしてボーカルの素晴らしさにも。

8ビート主体のロック調の歌メロをそのままのビート感で歌うと、アタックが強くなるのと同時に粘っこくもなりがちだと思うのですが、16ビートを鍛え抜かれた彼女たちの歌は極めて歯切れが良い。これは簡単には作れない、長年の経験の蓄積があってこその歌唱なのではないでしょうか。

アレンジはサビの部分で明るい要素がかなり入ったりしていますが、完全にハードロックに振り切った別アレンジを聴いてみたいですね。

 

12. 恋愛Destiny~本音を論じたい~

続いてこの曲もロック調。今回のアルバムの後半はロックサウンドで押してきている印象です。一つ前の曲のところでも書きましたが、今のモーニング娘。の歌唱能力を際立たせるのにロックビートはとても合っているように思います。

間奏のギターソロが、ヘヴィーメタル界隈でいう”クサメタル”っぽさを包み隠さず出していて、なんだか振り切れていますね。コンサートの終盤で、否応なく盛り上がらされてしまう感じでしょうか。

 

15. 青春Night

既発曲ですが一言。MVに出てくる森戸知沙希のゴーグル姿の印象が強過ぎる楽曲ですが、今回初めて音源をしっかり聴いてみて、ものすごく凝った作りの曲なのがわかりました。

ブラス音を多用した打ち込み音が主体の中で、クリーンなギターが気持ち良いなと思ってクレジットを見ると「Guiter: 鈴木俊介」と書いてあってびっくり。他のアレンジャーが編曲した楽曲でギターを弾くこともあるのですね。

 

ということで、『That's J-POP』を聴いた初日の感想は以上となります。ちょこちょこと色々書きましたが、全体を一言でいえば「今のモーニング娘。を全力で聴かせてくれる素晴らしいアルバム」だと思いました。

さあ、もう1周するぞ!