ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

メギツネ考

もうベビメタの次の展開が気になって気になって、おちおち寝てもいられない日々が続いていますね。しかし、だからこそ、ここでこれまでをもう一度振り返ってみるべきではないか、と思い立ち、1st アルバムを改めて聴き返してみました。

ベビメタはスタジオ録音よりライブの方が遥かに素晴らしい、とは多くの人が語るところであり、私も同じように思ってきました。ところが今回聴き返してみて、1曲だけ例外があると感じたのです。それがメギツネでした。

これまで数多のライブ音源を聴いてきた中で、なぜかいつも次の曲に早送りしたくなるのが実はメギツネでした。曲に入る前の「さくらさくら」のメロディの繰り返しが長いから、ということもあるのですが、それだけが理由ではないような気がする。メギツネはライブの現場で凄く盛り上がるのはわかっているのです。なのになぜ普段は今ひとつ物足りなく感じてしまうのでしょうか…

ところが今回 1st アルバムのメギツネを聴いてみて驚きました。これならじっくり聴きたい。いや、何度でも繰り返し聴きたい。曲の最初から最後まで一貫して張り詰めたSUの歌声が尋常ではない。隅々まで力と感情が漲った、色彩豊かな歌唱ではないですか!

以前にも書きましたが、SUがライブで歌うのに最も苦労している曲はアカツキとメギツネだと思っています。この2曲は、SUのあの直球勝負の歌い方で、音程を維持しながらブレス(息)を支えて歌い続けるのはとても難しいのでしょう。2013年の初披露から経験を重ね、声質にも厚みが出てくることによって、メギツネを歌いこなす力は確実に上がっていますが、それと反比例して、1st アルバムで聴けるようなニュアンスに富んだ歌ではなくなってきたように感じるのです。

そのようなことを考えながら、例によってメギツネの聴き比べをしてみました。今回は初期の頃から順に書き進めていきます。

1) Legend 1999

これが自分が手元で聴ける最も初期のメギツネです。音源のバランスが偏っていてボーカルがバンドの音に隠れがちなのですが、ここでのSUの歌い方は 1st アルバムにかなり近く、自分としてはとても嬉しい。映像も暗い赤と黒が主体の中で、ホール全体が異様に盛り上がっている様子を伝えており、SUの絶唱と合わせて何とも言えぬ空間が出来上がっています。

以前にアカツキを聴き比べた時にも書きましたが、自分は Legend 1999 を過小評価していたのだと思います。アカツキとメギツネ以外にも、聴き込めば更に色々発見できそうな気がしてきました。

2) Summer Sonic 2013

今回最大の掘り出し物はこれです。音のバランスが良いのでボーカルがはっきり聴こえます。SUの歌い方は少し変わってきていますが、まだ 1st アルバムに近い。自分的にはメギツネのすべてのライブ録音の中でこれがベストだと思います。

2013年のサマソニと言えばメタリカとの出会いという重大な出来事につい目が向きがちですが、演奏にもこんな聴きどころがあったとは嬉しい驚きでした。

3) Legend 1997

メギツネでは稀少な骨バンドでの演奏です。この音源も Legend 1999 と同様にボーカルの声が隠れがちなのですが、おそらくこの頃には歌い方がかなり現在に近くなっていたものと思います。それまでが「少女型メギツネ」だったとすれば、「お姉さん型メギツネ」に成長したという感じでしょうか。

4) 武道館・赤

この日、メギツネはステージの1曲目でした。初の大きな舞台装置で覚えなければいけないことが多く、納得できるパフォーマンスができなかったとSU自身が語っている赤い夜。初っ端だったメギツネの歌声には余裕の無さが感じられます。ただ、それが歌い方としては「少女型」に戻ったように感じられ、自分としては好きな演奏です。

5) 武道館・黒

赤い夜の翌日、気持ちの余裕を取り戻したこの日のメギツネは、もうすっかり「お姉さん型」になっています。そして、SUの声の変化もあり、これ以降「少女型メギツネ」が現れることはなくなったものと思います。

SUが日々成長していく様子を見ることは大きな喜びなのですが、ことメギツネについてだけは残念な気持ちが湧いてきてしまうのでした…