ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

難曲ギミチョコ

1月にYahoo!ニュースに掲載されたSU-METALのインタビュー。その中で、RHCPとのツアーでギミチョコを共演したことについて、こんなコメントがありました。

ツアーが始まった当初に、「一緒に演奏しよう!どんな曲がいい?」と言われたんですね。「じゃあ、私たちの曲をやってください!」とお願いしたら、ツアー中ずっと、一生懸命にあの曲を練習しているのが聞こえていました。

これを読んで、微笑ましいエピソードだなと思いつつ、ちょっと意外な感じを受けました。ギミチョコってレッチリのメンバーが一生懸命に練習しなければ演奏できないほど難しい曲なの? と思ったのです。

IDZやRoRのように複雑な構成の曲と違って、ギミチョコはシンプルな曲というイメージがあります。ただ、BPMが速いのに冒頭からいきなりトップスピードに入らなければいけないところは集中力が必要だろうなあとは思っていました。あと、イントロではドラム(打ち込み)の音が前のめりに聴こえたり、曲のあちこちで拍を取りにくく感じるところがあり、なんだか捉えどころの無い曲だとも思っていました。

そんな中、このところなぜかYouTubeのおすすめ動画にベビメタ曲のTAB(楽譜)が出てくるので、試しにギミチョコのTABを見てみました。すると、いきなり冒頭のところで意外なものが目に入ります。イントロの4小節の拍子が、7/8、4/4、4/4、9/8、と書かれている。わかりやすくするために分母を揃えると、7/8、8/8、8/8、9/8、となります。つまり、1小節目で8分音符一つ分を詰まらせたまま次の2小節を続け、4小節目を8分音符一つ分長くすることで辻褄を合わせている。イントロは16小節あるので、このパターンを4回繰り返すことになります。

えっ? そうだったの?! 前のめりに聴こえていたのには理由があったのです。これを演奏するのがプロのミュージシャンにとってどのくらい難しいことなのかはわかりませんが、演奏するために普通よりも練習が必要なことは想像できます。ベビメタの変拍子曲といえば、TOTDと悪夢の輪舞曲がすぐに頭に浮かびますが、実はギミチョコも変拍子だったとは・・・。カバー演奏をしたことがある人達には周知のことかも知れませんが、自分は今になってようやくわかりました。

このことに気づいてから更に曲の先を聴いていくと、もう一つ別のことが気になってきました。「チェケラチョコレート、チョコレート、チョチョチョいいかな?」で始まる旋律の歌が、バンドが刻む拍子から微妙にズレて聴こえるのです。この部分、バンドの音は普通に 4/4拍子を続けています。ではボーカルはどうなっているのか?

自分の耳の性能にはまったく自信がないのですが、この部分でボーカルは、イントロのバンドと同じ、7/8、8/8、8/8、9/8、で拍子を取って歌っているように私には聴こえるのです。しかもこれは、スタジオ録音のアルバムでもライブ音源でも同じです。

これを歌うのはかなり難しいでしょう。何度も何度も繰り返して練習し、完全に身体に染み込ませないとできないのではないでしょうか。

広島1日目のギミチョコで、SUの歌が他とズレるハプニングがありました。イヤモニのクリック音が聴こえなくなったのか、などと原因は憶測するしかないのですが、図らずもギミチョコがもともと持っている危うさが表に現れた出来事だったと言えそうです。

何年か前のインタビュー映像で、SUがギミチョコのメロディーを口ずさむのに合わせてYUI, MOAが踊るシーンがありました。SUが歌い始めた瞬間に突然スイッチが入った機械のように踊りを始めるYUIとMOAの動きが印象的なのですが、そこにはギミチョコならではの難しさも関係していたのかもしれませんね。