ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

IDZ 私的ベスト5

ふと、ベビメタの同じ曲を一気にいろいろ聴きくらべたらどう感じるだろうと思い、ついつい実行してしまいました。選んだ曲は IDZ。あまりにもたくさん続けて聴いたので頭の中がグチャグチャですが、その中で改めて気づいたことをベスト5の形で書いてみます。

第5位:東京ドーム・黒

ベビメタの「音」にこだわる自分にとって、東京ドーム公演は扱い方が難しい。どう難しいかを説明するため、2つの音源を取り上げて見ましょう。一つは青デロで聴くことのできる公式に編集された音。それに対してもう一つは音雲に落ちている現場録音です。

Ijime Dame Zettai by Ht WingNut | Free Listening on SoundCloud

私は東京ドームの現場に行っていないので確信は持てませんが、この現場録音は臨場感にあふれた秀逸な記録なのではないでしょうか。広大なドームの空間に音が響く様子がとてもリアルに感じます。そしてリアルなだけに、現場の音響の限界も生々しく伝わってきます。SUのボーカルと神バンドの音がまったく別のルートから聴こえてくる感じがして、お世辞にも良い音とは言えない。

一方、青デロの音は、エッジが効いていて迫力があるものの、金属的で人工的な感じを強く受けます。推測でしか言えませんが、当日の現場でこれに近い音が聴こえた人は、もしいたとしても、かなりの少数派だったのではないでしょうか。

東京ドームは、公演が行われたこと自体が歴史的事件であり、現場で収録された音と映像の素材を使って青デロという作品が「作られた」ことを否定するものではありません。ただ、もう少し現場のリアルを感じさせる編集があっても良かったのでは、とも思ってしまうのです。

第4位:武道館・赤

今回はあくまで「音」を考察するものなので、動画はなるべく画面を見ないようにしました。そのため、事前の予想では、武道館の赤と黒を比較すれば黒に軍配が上がるだろうと思っていました。

武道館・赤のIDZは、言わずと知れたあの出来事の渦中でのパフォーマンスであり、映像を見てしまえば感情を揺さぶられざるを得ません。一方、武道館の赤と黒のデロでは音が大きく違うことが広く知られていると思いますが、自分はこれまで黒の方が良いと感じていたのです。

ところが、今回初めて赤と黒のIDZを続けて聴いたところ、意外にも赤の方をより素晴らしく感じました。何というか、ギリギリの切羽詰まったところで初めて出てくるような気迫を感じる。アクシデントが影響していることが十分考えられ、不謹慎ではありますが、災いが思わぬ効果をもたらしたと言えるのではないでしょうか。(そして、この効果は3年9ヵ月後に思わぬ形で再現されることになります。)

第3位:Sonisphere

ソニスのIDZと言えば公式映像が有名ですが、私がお勧めしたいのは、ソニスの全曲をファンカム映像でつないだ動画です。これにはサウンドをマスタリングし直したらしいものがあって、これがとても良いのです。

[ sound remastered ] BABYMETAL Sonisphere 2014 Fancam Compilation - YouTube

何が良いかというと、現場で録音された演奏が公式映像の音に非常に近い。つまり、伝説の Sonisphere Festival の現場において、その演奏の水準が実際に極めて高かったことが確認できるのです。

しかもこの動画ではステージの最初から5曲すべてを聴くことができる。もう家宝と言っていい珠玉の作品ですね。

第2位:Wembley

今回の聴き比べでは意外な発見がいろいろあったのですが、これもその一つです。

ベビメタのライブでの音は、東京ドーム→五大キツネ祭り→巨大キツネ祭り→広島、と少しずつ荒々しさが増してきた感じがします。それに応じて自分が「これは良い演奏だ」と思う度合いも高まってきました(最新が最高!)。なので、今となってはウェンブリーの音は物足りないと感じるだろうと思いつつ、改めて聴いてみました。

ところが、これがなんとも言えず良い音ではないですか! 最近のような荒々しさが無い分、演奏がとてもタイトにコンパクトな感じで聴こえる。さらに、これはウェンブリー公式音源の編集の特徴だと思うのですが、東京ドームの金属的な音とは真逆に、なんとも有機的な色彩の音が鳴っている。どこかでどなたかが「木目調の音」と表現しているのを見た記憶があるのですが、まさにそのような印象です。

残念ながらウェンブリーは音質の良いファンカムが見つからず、現場でどのような音が鳴っていたのかを推測できないのが残念です。

第1位:広島 Legend-S 1日目

あれこれ聴きまくった結果でも、やはりベストは広島ですね。そして、1日目と2日目を聴き比べた結果は、自分が参戦した2日目ではなく、1日目に軍配が上がりました。

ご存知の通り、広島のIDZは事実上の1曲目であり、しかも1日目はYUIの不在という異常事態がステージ上で露わになる最初の曲でした。その緊張感が現場の音からありありと伝わってくるように感じます。

これに対して2日目の音からは、前日にステージをやり遂げた自信から来る余裕のようなものが伝わってくる。後半に向けてパワーをセーブしている気配さえ感じられて、1日目とはまったく異なる演奏に聴こえるのです。

切羽詰まった緊張感を良しとするのはどうかとも思いますが、「戦い」であるライブの記録として、広島1日目が強い魅力を放っていることは確かでしょう。

  ということで、自分勝手な思い込みベスト5を書き連ねてしまいました。いずれまた別の曲でも比較研究してみたいと思います。