ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

さくら曲とベビメタ

さくら学院の卒業式が終わりましたね。以前書いたように自分はベビメタから一気に可憐Girl’sに行ってしまったので、さくら学院のことは半年くらい前まであまり関心がありませんでした。それが変わったのは、昨年10月のさくら学院シャッフルナイトでのギミチョコがきっかけで、その衝撃から以前の「本質」と題した投稿ではこんなことを書きました。

「このように考えてみると、自分にとってベビメタの本質とは、①ベビメタのために入念に作り込まれた素晴らしい楽曲と、②さくら学院的な気質を体現しながら歌い踊るフロントの女性達、ということになりそうです。」

卒業式前後の盛り上がりの中でさくら学院の曲をいくつか聴いているうちに、ふとこんなことが頭に浮かびました。「もしもベビメタがさくら学院の曲をカバーしたらどんな感じになるのだろう?」

どうやって想像したら良いかを考えているうちに思いついたのが、Over the Future のオリジナルとベビメタによるカバー(Legend “D”)を聴き比べてみることです。早速実行してみると、オリジナルに比べてベビメタのカバーでは、全体に音が重いことに加え、次のような違いに気づきました。

①オリジナルでは裏拍をハイハットが小さな音で刻んでいるが、カバーではスネアの大きな音に替わっている(ドラムはおそらくどちらも打ち込み)

バスドラムが随所で16分音符を連打しており、ギターとベースも16分音符の刻みを多用している

なるほど、こういった手法でメタル的に聞こえるようになるのでしょうか。これを手掛かりに、さくら学院のいろいろな曲を聴きながら、頭の中で①と②の変換作業をしてみました。最初はなかなか難しかったのですが、ある曲を聴いる時に、おや? という気づきがあったのです。

その曲は、ベリシュビッッ。これってベビメタのカバー、いけるんじゃない? しかも、脳内で変換された曲のイメージが、アカツキや Amore といった曲を思い出させるのです。さすがに歌詞はベビメタの世界観から距離がありますが、あのメロディをSUが全編全力で歌い、神バンドがゴリゴリに演奏すれば、まったく違和感はないでしょう。曲の最初がフォークダンスで始まりますが、これもメタ太郎と同じような感じにアレンジできるでしょう。

こうして一つ見つかると、他にもベビメタカバーでいけそうな曲が次々と見つかります。夢に向かって旅立ちの日に。そして FRIENDS

更に極めつけは My Graduation Toss ですね。原曲は4/4拍子を1拍ずつ刻んでいますが、これを4倍速の16分で刻んで DragonForce のような高速ギターを入れれば、RoR の姉妹曲になりそうです。あと、Wonderful Journey もアレンジによってはウキミみたいな曲になるかもしれません。

中元すず香が卒業した後のさくら学院の曲はあまり知らないのですが、少なくとも初期の楽曲はベビメタと共通する何かがあったのかもしれませんね。私の思い込みすぎでしょうか……

紅月 私的ベスト7(3)

(続き)

長くなってしまったアカツキの聴き比べも今回で完結です。

第2位:Wembley

聴いても聴いても更にもっと凄い名演が出てくるアカツキ。Wembleyもやっぱり凄かった! ウェンブリーのアカツキといえば、特筆すべきはSUがマントを翻して疾走するシーンですが、演奏もまた素晴らしいです。特にギター!

今回聴き比べた中では、なぜか大神・小神のツインギターでの演奏がなかなか出て来ず、このウェンブリーが初めてでした。この二人のギターは、音の溶け合いかたが半端じゃない。一人ひとりの音を聴くとそれぞれ個性があるのに、重なり合うとなぜあのように音が一体化するのでしょうか。

新春キツネ祭りと比べるとドラムの音がやや重めになり、ベースと合わせたリズムセクションの上でツインギターがウネる。そしてSUの声も更に進化しています。力強くありながら伸びやかさと表現力が並び立っている、素晴らしい歌唱だと思います。

第1位:広島 Legend-S 2日目

何度か書きましたが、五大キツネ祭りから巨大キツネ祭りへと進むにつれて、神バンドの音が段々と荒々しくなっていったと思います。自分は演奏全体としては、荒々しくなることを歓迎していたのですが、アカツキだけは例外でした。

この頃アカツキは、赤キツネ、巨大SSA2日目、巨大大阪城2日目、と3回演奏されていますが、そのいずれも自分としては十分な満足が得られませんでした。演奏の荒さがアカツキの持つ真っすぐ張り詰めたイメージに合わないと感じたのです。

そういったことから、改めて広島のアカツキを聴いてみたら自分がどう感じるのか、恐るおそる1日目から聴き直してみました。すると…

とんでもなく凄い!

もはや、これまであれやこれやと書いていたことがすべて吹っ飛んでしまう程の衝撃です。ライブ演奏でこんなことが起こり得るのか。呆気に取られて言葉が見つかりません。続けて2日目を聴いてみると…

輪をかけて、もの凄い!

これはもう何ということでしょうか。1日目の激しさはそのままに、音の粒が揃って美しく流れ出てくる。言葉で何と表現したら良いのか、もはやさっぱりわかりません。あの日現場で自分はこんなに凄い場面に立ち会っていたのか…

あと9日でLVですね。一体どのような映像を目にすることになるのか、本当に楽しみです。

(この項終わり)

 

紅月 私的ベスト7(2)

(続き)

前回投稿したアカツキ・ベスト7の続きです。

第5位:武道館・赤

もうこれが史上最高ではないかと思った Legend 1999 に続いて、武道館の赤と黒を聴いてみました。ところが、聴き始めてすぐにびっくり。演奏が明らかに進化しています。

例えばギター。Legend 1999 ではギターソロが今とはずいぶん違っていて新鮮(?)な感じでした。それが武道館になると、今の感じに少し近づいてきています。イントロも、それまではギターの音でテンポも速かったのが、武道館ではピアノに替わり、テンポがゆっくりになりました。

ただ、演奏が進化したと感じたのは、そのようなわかりやすい部分というよりも、バンド一人一人の出す音が互いに融合し始めたように聴こえるところです。演奏を重ねることによってメンバーの息が合ってきた、ということなのでしょうか。

赤か黒かという点について、IDZでは赤に軍配を上げました。アカツキでは、両者に大きな違いは無いと感じます。デロの音作りが赤と黒では違うので、ここまでくると好みの問題になってきますが、アカツキには赤のカリッとした音が似合うと思い、ここでも赤を挙げました。

第4位:Brixton

この機会に久し振りに Brixton のアカツキを聴いたのですが・・・いやはや、思い切りぶっ飛ばされました。前田神の重いドラムの音。それに触発されたようなベースとギター。そして、気のせいか少しドスがきいて聴こえるSUの声。それらが重い塊となって耳に押し寄せて来るのです。

実は、これまで自分は Brixton の演奏があまり好みではありませんでした。前田神のドラムの音が目立ち過ぎて、バランスが崩れているように感じていたのです。ところが今回聴いてみたら印象が全然違う。これも凄く良いではないですか!

自分の感じ方が変化した原因を考えてみると、昨年気づいた神バンドの音の変化に思い当たりました。前にも書きましたが、去年の五大キツネ祭りから広島に至るまで、神バンドの演奏はどんどん荒々しくなっていったと思います。それに慣れた耳で久しぶりに Brixton を聴いてみると、荒々しさの程度は最近の演奏と大きな違いがなく、あるのは音色の差だと感じました。

こうなると、前田神の再登場を期待したくなりますね!

第3位:新春キツネ祭り

新春キツネ祭りといえば、RoRの公式映像のインパクトがあまりに大きいために、他の曲がどういう演奏だったのか実はよく知らないっていうことがありませんか?(自分だけ?)今回改めて聴いてみると、この時のアカツキもまた素晴らしいではありませんか。

まず歌い出しで気づくのが、SUの声がこの頃にはかなり強くなってきていることです。歌い方に色々な表情が付くようになり、そうでありながら緊張感がまったく落ちない。クイーンの風格とでもいうようなものが身に付いてきた印象です。

そして、神バンドが奏でる音の疾走感が凄い。ドラムとベースが細かいリズムを畳み掛け、そこに一糸乱れぬツインギターが躍動しています。バンドの生演奏をこのレベルにまで持ってくるには、たくさんの微修正を重ねてきたのではないでしょうか。

(続く)

 

紅月 私的ベスト7

やってしまいました・・・。今度はアカツキです。Legend “I” から Legend-S まで、少なくとも15公演(もはや数えられない)の演奏をぶっ続けで聴いてしまいました。さすがに疲労困憊です・・・。

IDZはベスト5を書きましたが、アカツキはもう素晴らしすぎて、とても5つに絞ることなどできません。話が長くなりそうですが、よろしければお付き合いください。(なお、Legend 1997 の Unfinished Ver. は、別格過ぎるのでここでは対象外としました。)

第7位:Legend “I”

言わずと知れたステージ初披露の演奏ですね。バックは骨バンドですが、録音のバンドの音が実に素晴らしい。これだけのクオリティであれば生バンドでなくても十分満足できると心底思います。

Legend “I, D,Z” のシリーズでは、”I” と “Z” でアカツキが演奏されましたが、私は “Z” よりも “I” の演奏に惹かれます。何が違うのか、1st アルバムの音源も加えた3つを聴き比べてみました。

バックの音は3つとも基本的に同じだと言って良いでしょう。アルバムは音質があまりクリアでないように感じますが、鳴っている個々の楽器の音は “I” “Z” とかなり近いように思います。

では、SUの歌声はどうか。アルバムでは、丸みを帯びた甘い感じの声になっています。アルバムのリリースは ”I” “Z” の公演から1年以上あとですが、録音はもっと早い時期だったのではと想像されます。これに比べて “I” “Z” の青デロでの歌声はかなりシャープで、特に “I” では一音一音がひたすら真っ直ぐに歌われていると感じます。

この “I” での歌い方は、平板とも言えるでしょう。曲中での歌い方がずっと同じになってしまうことにSU自身が問題意識を持っていたようなことを、どこかで読んだ記憶があります。確かに、「歌」としては平板だと物足りないということになるのでしょう。しかし、楽器と合わせた「音」として聴くと、”I” でのシャープで真っ直ぐな声は、聴く者の耳に直球で刺さってくる強い魅力を感じます。

“Z” ではそれに比べて少し抑揚が効いているのですが、そのためにインパクトがやや弱まったように思います。最近と比較するとまだ声が細かったこの頃、ひたすら真っ直ぐな歌い方をしたことは大変良い選択だったのだと改めて思いました。

第6位:Legend 1999

今回の聴き比べで予想外の収穫だったのが、この Legend 1999 でのアカツキでした。カバー曲が苦手だったり、最近まで骨バンドのステージを軽く見ていた自分は、Legend 1999 をほんの数回しか見たことがなかったのです。

今回聴いた中では神バンドが初めて現れた演奏。バンドの音が録音でも十分素晴らしいとは思うものの、やっぱり神バンドが出てくると躍動感が違います。まだ神バンドメンバーがベビメタについて公に語ることがあった頃、大神様が「一番気持ちがアガる曲はアカツキ」と言っていましたね。Legend 1999 でのアカツキは演奏者の興奮が直に伝わってくるような素晴らしいパフォーマンスだと思います。

Legend “I” からここまで聴き比べたところで、もうこの Legend 1999 が史上最高のアカツキなのではないかと大興奮してしまったのですが、甘かった。このあとも続々と名演が出てくるのですが、既に長くなってしまったので、稿を改めます。

(続く)

難曲ギミチョコ

1月にYahoo!ニュースに掲載されたSU-METALのインタビュー。その中で、RHCPとのツアーでギミチョコを共演したことについて、こんなコメントがありました。

ツアーが始まった当初に、「一緒に演奏しよう!どんな曲がいい?」と言われたんですね。「じゃあ、私たちの曲をやってください!」とお願いしたら、ツアー中ずっと、一生懸命にあの曲を練習しているのが聞こえていました。

これを読んで、微笑ましいエピソードだなと思いつつ、ちょっと意外な感じを受けました。ギミチョコってレッチリのメンバーが一生懸命に練習しなければ演奏できないほど難しい曲なの? と思ったのです。

IDZやRoRのように複雑な構成の曲と違って、ギミチョコはシンプルな曲というイメージがあります。ただ、BPMが速いのに冒頭からいきなりトップスピードに入らなければいけないところは集中力が必要だろうなあとは思っていました。あと、イントロではドラム(打ち込み)の音が前のめりに聴こえたり、曲のあちこちで拍を取りにくく感じるところがあり、なんだか捉えどころの無い曲だとも思っていました。

そんな中、このところなぜかYouTubeのおすすめ動画にベビメタ曲のTAB(楽譜)が出てくるので、試しにギミチョコのTABを見てみました。すると、いきなり冒頭のところで意外なものが目に入ります。イントロの4小節の拍子が、7/8、4/4、4/4、9/8、と書かれている。わかりやすくするために分母を揃えると、7/8、8/8、8/8、9/8、となります。つまり、1小節目で8分音符一つ分を詰まらせたまま次の2小節を続け、4小節目を8分音符一つ分長くすることで辻褄を合わせている。イントロは16小節あるので、このパターンを4回繰り返すことになります。

えっ? そうだったの?! 前のめりに聴こえていたのには理由があったのです。これを演奏するのがプロのミュージシャンにとってどのくらい難しいことなのかはわかりませんが、演奏するために普通よりも練習が必要なことは想像できます。ベビメタの変拍子曲といえば、TOTDと悪夢の輪舞曲がすぐに頭に浮かびますが、実はギミチョコも変拍子だったとは・・・。カバー演奏をしたことがある人達には周知のことかも知れませんが、自分は今になってようやくわかりました。

このことに気づいてから更に曲の先を聴いていくと、もう一つ別のことが気になってきました。「チェケラチョコレート、チョコレート、チョチョチョいいかな?」で始まる旋律の歌が、バンドが刻む拍子から微妙にズレて聴こえるのです。この部分、バンドの音は普通に 4/4拍子を続けています。ではボーカルはどうなっているのか?

自分の耳の性能にはまったく自信がないのですが、この部分でボーカルは、イントロのバンドと同じ、7/8、8/8、8/8、9/8、で拍子を取って歌っているように私には聴こえるのです。しかもこれは、スタジオ録音のアルバムでもライブ音源でも同じです。

これを歌うのはかなり難しいでしょう。何度も何度も繰り返して練習し、完全に身体に染み込ませないとできないのではないでしょうか。

広島1日目のギミチョコで、SUの歌が他とズレるハプニングがありました。イヤモニのクリック音が聴こえなくなったのか、などと原因は憶測するしかないのですが、図らずもギミチョコがもともと持っている危うさが表に現れた出来事だったと言えそうです。

何年か前のインタビュー映像で、SUがギミチョコのメロディーを口ずさむのに合わせてYUI, MOAが踊るシーンがありました。SUが歌い始めた瞬間に突然スイッチが入った機械のように踊りを始めるYUIとMOAの動きが印象的なのですが、そこにはギミチョコならではの難しさも関係していたのかもしれませんね。

 

 

IDZ 私的ベスト5

ふと、ベビメタの同じ曲を一気にいろいろ聴きくらべたらどう感じるだろうと思い、ついつい実行してしまいました。選んだ曲は IDZ。あまりにもたくさん続けて聴いたので頭の中がグチャグチャですが、その中で改めて気づいたことをベスト5の形で書いてみます。

第5位:東京ドーム・黒

ベビメタの「音」にこだわる自分にとって、東京ドーム公演は扱い方が難しい。どう難しいかを説明するため、2つの音源を取り上げて見ましょう。一つは青デロで聴くことのできる公式に編集された音。それに対してもう一つは音雲に落ちている現場録音です。

Ijime Dame Zettai by Ht WingNut | Free Listening on SoundCloud

私は東京ドームの現場に行っていないので確信は持てませんが、この現場録音は臨場感にあふれた秀逸な記録なのではないでしょうか。広大なドームの空間に音が響く様子がとてもリアルに感じます。そしてリアルなだけに、現場の音響の限界も生々しく伝わってきます。SUのボーカルと神バンドの音がまったく別のルートから聴こえてくる感じがして、お世辞にも良い音とは言えない。

一方、青デロの音は、エッジが効いていて迫力があるものの、金属的で人工的な感じを強く受けます。推測でしか言えませんが、当日の現場でこれに近い音が聴こえた人は、もしいたとしても、かなりの少数派だったのではないでしょうか。

東京ドームは、公演が行われたこと自体が歴史的事件であり、現場で収録された音と映像の素材を使って青デロという作品が「作られた」ことを否定するものではありません。ただ、もう少し現場のリアルを感じさせる編集があっても良かったのでは、とも思ってしまうのです。

第4位:武道館・赤

今回はあくまで「音」を考察するものなので、動画はなるべく画面を見ないようにしました。そのため、事前の予想では、武道館の赤と黒を比較すれば黒に軍配が上がるだろうと思っていました。

武道館・赤のIDZは、言わずと知れたあの出来事の渦中でのパフォーマンスであり、映像を見てしまえば感情を揺さぶられざるを得ません。一方、武道館の赤と黒のデロでは音が大きく違うことが広く知られていると思いますが、自分はこれまで黒の方が良いと感じていたのです。

ところが、今回初めて赤と黒のIDZを続けて聴いたところ、意外にも赤の方をより素晴らしく感じました。何というか、ギリギリの切羽詰まったところで初めて出てくるような気迫を感じる。アクシデントが影響していることが十分考えられ、不謹慎ではありますが、災いが思わぬ効果をもたらしたと言えるのではないでしょうか。(そして、この効果は3年9ヵ月後に思わぬ形で再現されることになります。)

第3位:Sonisphere

ソニスのIDZと言えば公式映像が有名ですが、私がお勧めしたいのは、ソニスの全曲をファンカム映像でつないだ動画です。これにはサウンドをマスタリングし直したらしいものがあって、これがとても良いのです。

[ sound remastered ] BABYMETAL Sonisphere 2014 Fancam Compilation - YouTube

何が良いかというと、現場で録音された演奏が公式映像の音に非常に近い。つまり、伝説の Sonisphere Festival の現場において、その演奏の水準が実際に極めて高かったことが確認できるのです。

しかもこの動画ではステージの最初から5曲すべてを聴くことができる。もう家宝と言っていい珠玉の作品ですね。

第2位:Wembley

今回の聴き比べでは意外な発見がいろいろあったのですが、これもその一つです。

ベビメタのライブでの音は、東京ドーム→五大キツネ祭り→巨大キツネ祭り→広島、と少しずつ荒々しさが増してきた感じがします。それに応じて自分が「これは良い演奏だ」と思う度合いも高まってきました(最新が最高!)。なので、今となってはウェンブリーの音は物足りないと感じるだろうと思いつつ、改めて聴いてみました。

ところが、これがなんとも言えず良い音ではないですか! 最近のような荒々しさが無い分、演奏がとてもタイトにコンパクトな感じで聴こえる。さらに、これはウェンブリー公式音源の編集の特徴だと思うのですが、東京ドームの金属的な音とは真逆に、なんとも有機的な色彩の音が鳴っている。どこかでどなたかが「木目調の音」と表現しているのを見た記憶があるのですが、まさにそのような印象です。

残念ながらウェンブリーは音質の良いファンカムが見つからず、現場でどのような音が鳴っていたのかを推測できないのが残念です。

第1位:広島 Legend-S 1日目

あれこれ聴きまくった結果でも、やはりベストは広島ですね。そして、1日目と2日目を聴き比べた結果は、自分が参戦した2日目ではなく、1日目に軍配が上がりました。

ご存知の通り、広島のIDZは事実上の1曲目であり、しかも1日目はYUIの不在という異常事態がステージ上で露わになる最初の曲でした。その緊張感が現場の音からありありと伝わってくるように感じます。

これに対して2日目の音からは、前日にステージをやり遂げた自信から来る余裕のようなものが伝わってくる。後半に向けてパワーをセーブしている気配さえ感じられて、1日目とはまったく異なる演奏に聴こえるのです。

切羽詰まった緊張感を良しとするのはどうかとも思いますが、「戦い」であるライブの記録として、広島1日目が強い魅力を放っていることは確かでしょう。

  ということで、自分勝手な思い込みベスト5を書き連ねてしまいました。いずれまた別の曲でも比較研究してみたいと思います。

 

2017年12月3日

Legend S のWOWOW放送とLVまであと約3週間。衝撃的映像(に違いない)で記憶が上書きされる前に、自分が現地で感じたことを書き留めておきます。日記のようなものなので読み飛ばしてください。

自分が参戦(いえ、参拝券だったから参拝ですね)したのは2日目。その日の午前に飛行機で広島空港に降り立ちました。そしてバスで広島市街に向かいます。終点の広島バスセンターに到着する少し前にグリーンアリーナが姿を現し、いやでも気分が盛り上がってきました。

そういえば、初日の前々夜だったか、会場に大型トラックから舞台装置が搬入される様子を撮った動画がアップされていましたね。でかい! とか、目みたいなものがついてる! などと興奮の実況中継でした。これは凄いステージが出来上がるのではないか、ともコメントされていましたが、自宅でそれを見ていた自分は、反応が大袈裟なんじゃないかなあと醒めた気分で見ていたのでした。

広島グリーンアリーナでの開催が最終的にわかったのは、わずか1か月半前のことでした。当時の自分は Legend S が急ごしらえの公演のように感じられており、そんなに大掛かりな内容にはならないだろうと決め込んでいたのです。それが大きな思い違いだったことは初日に十二分に思い知らされました。我々が五大キツネ祭りやサマソニに大騒ぎしていた頃には、既に広島への準備が着々と進んでいたのだろうと思います。

さて、広島バスセンターに着いてから開演まではかなり時間があったので、まず原爆ドームに向かいました。中元すず香の日誌や歌の考古学のエピソードに胸を打たれた者としては、原爆ドーム平和記念公園を訪れない訳にはいきません。1日目のツイートでアオギリのことを知り、資料館の脇にある実物を目に収めました。原爆ドームでも資料館でも本当に多くのメイトさんを見かけます。中元すず香の伝えたいという思いが見事に結実した日だと感じました。

(その後、うどんの「ちから」に行ったとか、開場間際に駆け込みでお好み焼き屋に入ったとかいう話は省略し、三種の神器を受け取って会場に入ったところから…)

この日のチケットはスタンド席で、行ってみるとメインステージ上手にかなり近い場所でした。舞台装置は前日のツイート写真を見ていたわけですが、実際に会場に行ってみるとキツネの頭が予想以上にデカい。自分はこれから何を目にすることになるのか、期待に胸が高鳴ります。

そしてオープニング。キツネ達に引かれた移動舞台の上で仁王立ちになったSU-METALの姿が何とも凄かった。立っているだけでアリーナの全員をひれ伏させてしまうような存在感。映画で古代王国の壮大な儀式を見ているような気持ちになりました。

その後「新曲」を経て IDZ へ。通常の曲が始まって気づいたのが、この日は神バンドの音とSUのボーカルのバランスがとても良いことです。それまでに参戦したライブでは、自分にはボーカルが隠れがちに聴こえていたのですが、この広島公演では明瞭に聴き取れる。自分史上最高のベビメタライブの音でした。

前半の私的ベストは GJ!。MOAが一人で歌い踊りながら、「聞こえないよ!」「聞こえなーい!」と煽りまで入れているのに感動しましたね。そして、これはあとから拾った現場録音を聴いていて気づいたのですが、広島のBBM曲では神バンドの音が普段より明らかに激しい。YUIの不在を埋めようとする渾身の演奏だったのでしょう。

NRNRが中盤のハイライトだったのは間違いないのですが、記憶が飛んでいてほとんど思い出せません。曲の前のナレーション映像で黒い雨が流れたあたりまでは覚えているのですが…

演出に目を奪われる広島公演ですが、演奏の「音」に最も引き込まれたのが、KARATE〜RoR〜ヘドバン〜BMD の怒涛の4曲でした。特にBMDの凄かったこと! 

ベビメタにハマった当初、BMDには特に関心を持てませんでした。儀式っぽいところが馴染めず、そもそも歌がないので面白くない。ウェンブリーの映像を見た頃にはこれもなかなかいいな、と思うようになりましたが、本当に素晴らしいと納得したのは昨年9月の巨大キツネ祭りでした。ライブの冒頭から物凄いウネリの効いたスタートダッシュだったことに驚愕したのです。

そして広島でのBMD。3Dの映画みたいに音が立体的に突き刺さってくる。ライブ演奏でこんなことができるのか! と本当に衝撃を受けました。そこから先は、ただ呆然としたまま終演まで。THE ONE の後半で突然バンドの音が戻ってきた瞬間に少し目が覚めましたが…

もう皆さんに言い尽くされたことではありますが、この Legend S は一生の記憶に残るライブ体験となりました。

そう言えばもう一つ思い出すのが、開演前から終演後までシートに座って爆睡していた人がいたこと。世紀の名演を目の前で見逃した彼は、今ごろどこでどうしているでしょうか・・・。