大阪銀の試練
レッチリUSツアーやフィルムフェスツアーがあった頃は、五大キツネ祭りのチケット争奪戦の時期でもありました。
最初は入会をためらっていた THE ONE ですが、フィルムフェスの会場でとうとう Big Tee を購入し、鼻息荒く五大キツネの THE ONE 先行の抽選に臨んだのでした。
白塗りをする勇気は無かったので、東京の黒と銀、名古屋銀、大阪銀の4つに申し込んだところ、ありがたくも大阪銀に当選! そう言えば、申し込み画面で最後に入力した公演に当たった人が多いというツイートがありましたが、実際のところどうだったのでしょう。
さて、大阪銀は五大キツネ祭りの中で最後の方の日程でした。チケットが取れてから当日までの間には、LAのヘッドラインショー、KORN帯同ツアー、五大キツネ東京・名古屋、サマソニ(遂に、遂にここまで来ました!)とあまりに色々なことがありすぎて、正直なところ待ちくたびれた感がありました。
そうは言っても初めてのワンマンライブ、しかも皆さんが絶賛する小箱ということで、数日前から胸が高鳴り始めます。
ライブ当日の持ち物リスト、というありがたい情報をツイートしてくれる人が何人もいて、スタンディング初心者の私にはとても参考になりました。お札などは小さいビニール袋に入れておくと良いとか、水分補給用のペットボトルを腰に下げるホルダーを持っていけなど、いろいろ感心することばかりでしたが、その中で一番気になったのが耳栓です。
ガンズSSAでドラムの音が大きいのに驚き、フィルムフェスでは「こんなに大きな音にしなくていいのに」と思った私は、もともと耳が強い方ではありません。新宿ピカデリーに行った時は、次の日まで耳がキーンと鳴っていました。
やっぱり用心のために耳栓を用意しておくかと思い、近所のドラッグストアで安いフニャッとしたものを買いました。しかし、ライブの音を少しでも良い状態で聴くなら音楽用の耳栓の方が良いのかもと考え直し、楽器屋さんに行って金属のケースが付いたカッコいいライブ用耳栓を手に入れたのでした。
さていよいよ当日。アイドルの追っかけで全国どこにでも行ってしまう人達を呆れて見ていた自分が、何の疑問も抱かず飛行機で大阪に向かったのでした。なぜ山に登るのかと聞かれて「そこに山があるからだ」と答えた人の気持ちと同じでしょうか・・・(違うか)。
伊丹空港からまずはホテルに行ってチェックイン。部屋に荷物を置き、身軽になって会場に向かいました。少し時間があったのでユニバーサルシティ駅の近くで腹ごしらえをして、いよいよ歩いてZepp Osaka Bayside に向かいます。ところがそこで気がつきました。
耳栓をホテルに置き忘れた、、、。
しかし開場時間が迫っています。ホテルに取りに戻る余裕はないし、まあいいや、と待機列に加わりました。
自分の整理番号はたしか1500番台だったので、ステージ近くに行くことははじめから諦めていました。入場すると後方の一段高くなったエリアで場所を確保して開演を待ちます。上手側、横の壁の上の方にテラスのような場所があったのですが、その手摺りに小型のカメラを据え付ける KOBA の姿を発見。人生初の生コバで、結構興奮しました。
開演前に開場に流れるメタルの名曲の数々(だと思うのですが、自分は初心者なので良くわからない)を聴くと、自然に頭が前後に動き出します。ああこういうのがヘドバンにつながるのか、などと思っていたら、突然客電が落ちました。
いよいよ待ちに待ったライブの始まりだ!
ところが BMD が始まった瞬間、思わぬ展開を迎えてしまったのです。
ぐわぁ!!! なんというデカい音だ!!
この時、初めて爆音という言葉の意味がわかりました。自分の耳の処理能力をはるかに超えています。これでは楽しむどころか、苦痛以外の何ものでもない・・・。
更に追い討ちをかけられたのが、いわゆるヘリウム声です。2曲目のメギツネでいよいよSUの歌声を聴けると思いきや、自分には潰れてかすれた声しか聞こえません。
これには本当に参りました。1時間の苦行の末、意気消沈してホテルに戻ったのでした。このあと5日間ほどキーンという耳鳴りが続き、音楽を聴くどころではありません。自分史上最長の「ベビメタ断ち」の日が続きました。
この時から、私の頭の中に大きな疑問が湧き上がりました。ベビメタの「本当の音」って何なのだろう? そして自分はその本当の音を好きになれるのだろうか?
これは結構ややこしい話なので、また改めて書いていきたいと思います。