ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

ドラム騒動

フィルムフェスツアーが東京から大阪に移る頃、レッチリUSツアーのOAが始まりました。今回はその頃のことを書こうと思いますが、その前に少し回り道を。

自分はベビメタにハマる前、音楽はほとんどクラシックばかりを聴いていました。クラシックは作曲家や演奏家など色々な角度からの楽しみ方がありますが、指揮者によって演奏がいかに変化するかというのも面白いところです。

自分が好きな指揮者に、リッカルド・シャイーというイタリア人がいます。彼が指揮するオーケストラの演奏は、何というか、「溜め」が効いていて痛快。ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団という凄く重厚な音を出すドイツのオーケストラがあるのですが、彼がそこで指揮をすると、クライマックスで大砲がズドーンとぶっ放されるような、とんでもない音が出るのです。

このシャイーという人は、若い頃にバンドでドラムを叩いていたことがあったそうで、彼独特の「溜め」はその経験と関係がありそうな気がします。ベビメタを聴くようになって良く見る言葉に「グルーヴ」というのがありますが、おそらく同じような感覚なのだろうと解釈しています。

神バンドは時折メンバーが変わり、メンバーが変われば演奏の色も変わります。自分はギターやベースの奏者による違いには敏感でないのですが、ドラマーによる違いはとても強く感じます。青山神と前田神とでは、バンドが出す音全体が別物になったように聴こえるのです。

さて、2017年の4月13日(現地は12日)、ワシントンDCから上がってくる動画で演奏の音を聴いた途端、なんとも不思議な感覚に襲われたのでした。

これっていつもとは全然違うバンドのように聴こえるんだけど・・・。自分があれほど好きになったベビメタはこういう音ではなかったはず・・・。

ひょっとしてファンカムで音質が悪いから変わった聴こえ方がするのか? それとも会場の音響が劣悪だから?

もう気になって気になって仕方がなくなり、その日から過去のファンカムを片っ端から見続ける日々が続きました。ガンズ、メタリカレッチリUKと1公演ずつ遡っていきます。YouTube と Dailymotion に上がっている動画はほぼすべて見たと思います。

その結果言えるのは、やっぱりワシントンDCの演奏はそれ以前と大きく違っているということ。そうこうするうちにアトランタ公演も終わったのですが、アトランタもワシントンDCと同様。うーん、これは結構ショックでした。肝心要のドラムがこうも変質してしまっては、どうにも受け止めようがない・・・。

ところがその後、ローリー、シャーロットと進むにつれて段々と良くなり、コロンビア公演で完全復活(個人の感想です)。そしてマイアミでの感動の最終回に向けて怒涛の進撃を見せてくれたのですから、わからないものです。バンドというのは微妙なバランスで成り立っているものなんだなあと思い知らされたし、逆にいつもの鉄壁の演奏の連続がいかに凄いことなのかが良くわかりました。

ところで、怪我の功名というか、これだけ集中して大量に、しかも限られた時期のファンカムを見たのは初めての経験でした。そんなことをしていると、いろいろと我ながら妙な聴き方ができるようになります。その辺りは、また項を改めて書いてみたいと思います。