ベビメタ七転八倒

ベビメタのブログだったのに最近は鞘師多め

借りてきた虎

少しずつ進めている鞘師里保研究。今回は恐る恐るここまで進んでみました。

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2014年11月26日に横アリで行われたモーニング娘。のコンサートが収録されたBDです。以前の投稿にコメントしていただいた maki さんからお薦めがあったので、勇気を出して渋谷タワレコに行って買ってきました。

まず最初の印象は・・・安い! 青デロで税込5,400円とは何とも素晴らしいお値打ち感。ベビメタやさくら学院で8,000円以上に慣れている身なので、この懐への優しさにちょっと感動しました。ハロプロではいつもこのくらいが相場なのでしょうか。売れる枚数が違うのか?

さて、そんなことはさて置き、中味の話に入ります。モー娘はこれまでYouTubeで細切れでしか見ていなかったので、コンサートの全編を通しで見るのはこれが初めて。2時間半にわたる映像ですが、途中で飽きさせることなく観客をしっかり楽しませる、良いステージだと素直に思いました。メンバーにはそれぞれ得意不得意があるけれど、モー娘のパフォーマンスとして認められる一定以上のレベルにしっかり引き上げていて、好感を持ちました。

そんな全体の印象の中で、さて鞘師です。鞘師研究を始めた当初に私がまず感じたのは、モー娘の中で鞘師が「明らかに異質な存在だ」ということでした。その印象は今回映像作品をじっくり見ても変わりませんでした。

このBDに収録されているコンサートは道重さゆみの卒業最終公演であり、そのためもあってか、モーニング娘。というグループがいわば家族のような共同体として観る者の目に映ります。メンバーの誰もが、モー娘家族の一員としてそこにいて、自分が最も輝けるのはモー娘のステージに立っている時だと皆がわかっている。映像から私にはそのように感じられました、ただ一人を除いては。

この時のモー娘は10人編成なのですが、この10人のフォーメーションの中で一人ひとりが割り当てあられた振り付けをこなすことで、全体で一つの演技が成立しています。逆に言うと、一人の動きだけでは表現が断片的で、パフォーマンスとして成立しません。ところが鞘師だけは違います。彼女はそのまま一人だけ切り取られてステージに出されたとしても、一つの完成されたパフォーマンスとして観客を納得させてしまうに違いない。そんな異次元な存在にどうしても見えるのです。

そういうことだからなのか、鞘師はモー娘家族の一員のようにも見えません。家族だからいつも一緒にいるのが当たり前だとか、一人ひとりがかけがえのない家族の一員だというような関係性が、ステージにおいては鞘師と他の9人との間に感じることができないのです。なにか、よそから連れられてきた遠い親戚のような、例えて言えば「借りてきた猫」みたいな存在。でも、パフォーマンス力がずば抜けているので、猫というよりは「借りてきた虎」でしょうか。

モー娘ファンの間で有名な道重さゆみの公開セクハラ事件と呼ばれるハプニングがあって、それがこのBDに収められています。コンサートの終盤近くで曲の最中に突然、道重さゆみが鞘師の頬にキスをするというシーン。道重が鞘師をずっと可愛がっていたという文脈からのことだとは思いますが、どうしても深読みをしたくなってしまいます。鞘師は明日にでもふっといなくなってしまうのではないか、今日でモー娘を去る自分が今何かをしておかないと本当に消えてしまうのではないか。道重さゆみが実際にどう思っていたのかわかりませんが、見る者にそう想像させてしまう雰囲気を鞘師が纏っていたことは確かだと思います。

それではBABYMETALでの鞘師はどうなのでしょうか。アヴェンジャーズという設定からして既に刹那感があるわけですが、それを一旦脇に置いてステージ上の様子だけから想像すると、「価値観が合うルームメイト」みたいな感じでチームBABYMETALに馴染んでいるように見えます。でも「家族」のようなウェットな関係ではないし、相手が誰であってもそういう関係を鞘師は望んでいない。彼女はそういう人であるように私には感じられます。

自分が果たすべき役割があり、自分が舞台で完全燃焼できるなら、正式メンバーだろうが交代メンバーだろうが構わない。しかし、自分が納得できる役割が見出せないのなら、あるいは自分が全てを賭けたいと思える舞台でなくなったならば、彼女は躊躇なく去っていくのだと思うのです。

ファンの側では一体何ができるのか、これはなかなか難しいですね。ともかく一回一回の彼女のパフォーマンスを目に焼き付ける。今できることはまずそれでしょうか・・・